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2023 年度 実施状況報告書

深層学習を基盤とするコンテンツ生成型AIと人間の共創

研究課題

研究課題/領域番号 23K04201
研究機関立命館大学

研究代表者

山田 悟史  立命館大学, 理工学部, 准教授 (00551524)

研究分担者 酒谷 粋将  関東学院大学, 建築・環境学部, 准教授 (20772148)
研究期間 (年度) 2023-04-01 – 2027-03-31
キーワード画像生成AI / 自然言語生成AI / AIによる変化 / 思考 / デザイン / 市場
研究実績の概要

本年度は下記の4点の内容に取り組んだ。①自然言語を発話する生成AIとの対話による人の思考の変化。②画像を描く生成AIとの対話による人のデザインプロセスの類型化。③画像を描く生成AIとの対話による人の3次元的なデザインの変化。④デザインにおける生成AIの利用が市場に与える影響。
①においては、生成AIとの対話を行う場合と行わない場合のレポート内容を比較した。比較手法は形態素に分解した語彙数と出現頻度の推移である。対話を行うことで語彙数が減少し、特定の単語の出現頻度が高くなる傾向が見られた。また、対話により消失した出現頻度の低い単語も、意味が希薄な単語でないことを把握した。
②においては、照明を題材にしたデザイン実験を行い、5回の対話を通じてデザインプロセスの類型を把握した。これにはスケッチ描写、生成画像の閲覧、意味解釈を複数回繰り返す実験が含まれ、意味解釈に関する単語データを得た。
③においては、ランドスケープデザインをテーマに公園に樹木を配置するデザイン実験を行い、生成AIと対話する場合としない場合を比較した。敷地全体の緑視率には変化が極めて小さい形態となった。一方、配置形態に差異が生じる可能性も確認された。
④においては、建築を専門とする大学生と実務者を対象に、生成AIを用いたことによる購買意欲と価格の変化に関するアンケートを行った。購買意欲は向上するが、価格の支払い意向額は下がることが結果として得られた。また、この低下傾向は購入対象に対する自己の理解度が低いと自覚する場合に強まることも把握した。

現在までの達成度 (区分)
現在までの達成度 (区分)

2: おおむね順調に進展している

理由

進捗状況はおおむね順調である。予定していた①と④についてはヒアリング結果を得ることができたが、定量的な検証がまだ精査中であるため、査読付き論文への投稿には至っていない。この点は課題である。一方で、要点は日本建築学会の会報誌「建築雑誌」の特集「AIの衝撃:期待と葛藤を抱えて進む」において広く公表することができた。また、拝命した編集員としての役割を通じて、学会にAIと人の共創に関する示唆を提示することができた。予定していた②については、実験データを得ることができたが、実験結果の概観からデザインプロセスが四類型に分けられることを把握したものの、こちらも定量的な検証方法を精査している段階であり、まだ査読付き論文への投稿には至っていない点が課題である。③は当初予定していなかった内容であるが、緑視率を専門とする研究者および建築設計を専門とする海外の実務者と連携し、当初の予定を拡充する内容にも着手することができた。この部分については、デザイン実験をほぼ終え、緑視率期待値の分析方法の構築まで完了し、傾向の概観を把握した段階である。こちらについては未発表であり、配置形態の定量分析についても方法を精査中である。

今後の研究の推進方策

①と④については学術論文誌に投稿するべく内容および投稿先を精査している段階である。投稿を迅速化するため、内容に関しては補助員の利用、原稿作成に関しては英文校閲業者の利用を検討している。②については助成金受給者と共同研究者の間で生じた状況の変化が連携の滞りの原因の一つと考えられる。連携方法の見直しを通じて投稿に繋げたい。新たに着手した③については、緑視率を専門とする研究者との円滑な連携を継続し、海外の実務者との連携方法を改善して進捗を早めたい。

次年度使用額が生じた理由

当初の計画では研究の序盤に大規模学習を自身の設備で行うための執行を予定したが,AIを取り巻く状況の大きな変化が続くため執行を見送った。引き続き世界的な状況を注視しながら効果的な執行内容と時期を検討する。

  • 研究成果

    (9件)

すべて 2024 2023 その他

すべて 国際共同研究 (1件) 学会発表 (6件) 備考 (1件) 学会・シンポジウム開催 (1件)

  • [国際共同研究] 天津大学(中国)

    • 国名
      中国
    • 外国機関名
      天津大学
  • [学会発表] Transformers Colony -ポストヒューマニズムの新陳代謝システムの提案-2024

    • 著者名/発表者名
      大本和尚,山田悟史
    • 学会等名
      建築情報学生レビュー2023
  • [学会発表] AIの衝撃 --期待と葛藤を抱えて進む2024

    • 著者名/発表者名
      山田悟史
    • 学会等名
      建築雑誌 3月号
  • [学会発表] 写真と文章に対する深層学習を用いたプリツカー賞受賞者の類似性2023

    • 著者名/発表者名
      谷川奈央,山田悟史
    • 学会等名
      日本建築学会大会(近畿)学術講演会梗概集(情報システム技術)
  • [学会発表] 深層学習を用いたコンテンツ生成AIとの共創プロセスにおける中動態2023

    • 著者名/発表者名
      原田真衣, 山田悟史
    • 学会等名
      日本建築学会大会学(近畿)学術講演梗概集(情報システム技術)
  • [学会発表] 批評文からとらえる建築家像の類似性 -近現代建築を対象に-2023

    • 著者名/発表者名
      谷川奈央, 越智広樹, 山田悟史
    • 学会等名
      第46回情報・システム・利用・技術シンポジウム
  • [学会発表] デザイン検討におけるコンテンツ生成AI の利用による創発の類型的考察2023

    • 著者名/発表者名
      大本和尚,山田悟史
    • 学会等名
      第46回情報・システム・利用・技術シンポジウム
  • [備考] AIの衝撃:期待と葛藤を抱えて進む

    • URL

      http://satoshi-bon.jp/2024/01/25/ai-2/

  • [学会・シンポジウム開催] コンテンツ生成AIからみる建築情報学2023

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公開日: 2024-12-25  

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