研究実績の概要 |
本研究では、高エネルギー物質の一群であるアゾール類に対し、電気的酸化を行うことで高性能化させることを目的としている。初年度では、主に反応に用いる混合溶媒・混合比率の最適化を行うとともに、得られた物質の分析を行った。最も基本的な1,2,4-トリアゾールを対象に、各種の溶媒単体および混合溶媒の適用性を評価したところ、有機溶媒に水を加えて得られた生成物が最も高い反応性を示した。酸化剤および支持電解質として機能する硝酸イオンのソースとして、本実験では水への溶解性の高い硝酸アンモニウムを利用したことから、本研究の電気的酸化過程において溶解性の向上が強く寄与したものと考えられる。また、混合溶媒比率や支持電解質の量についても条件検討を行った。その結果、最適な条件下で得られた生成物は、分解時において100%の重量減少を呈して完全ガス化を達成することができた。さらに、示差走査熱分析では4000J/gを示した。原料がそれぞれ600および1300 J/gであることと比較すれば、この発熱量は非常に高いものであり、置換基等のない1,2,4-トリアゾールを電気的酸化によって高性能化できたといえる。 1,2,4-トリアゾールを基本骨格として置換基を導入した化合物類についても、同様に電解酸化を行い発熱量を比較した.アミノ基をもつアゾール類について、1:1塩を仮定して計算して得られた値よりも高い発熱量を呈しており、エネルギー物質の高性能化に電気的酸化が有効であることが示されたと言える。
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