研究課題/領域番号 |
23K04240
|
研究機関 | 阿南工業高等専門学校 |
研究代表者 |
川畑 成之 阿南工業高等専門学校, 創造技術工学科, 准教授 (70390507)
|
研究分担者 |
槙原 幹十朗 東北大学, 工学研究科, 教授 (60392817)
|
研究期間 (年度) |
2023-04-01 – 2026-03-31
|
キーワード | テンセグリティ構造 / 超磁歪素子 / 精密形状制御 / モジュール型構造 |
研究実績の概要 |
本研究は張力材と圧縮材の長さ制御機能を有するスマートテンセグリティ構造を単位ユニット構造とするモジュール型宇宙構造の実現を目的としている.開発するシステムは様々なパターンで組み合わせることのできる高比強度のテンセグリティ構造から構成され,超磁歪素子を要素に持つ精密制御用アクチュエータによる圧縮材制御と大変形を可能とする張力材制御を組み合わせることで,様々な用途に利用可能である.2023年度においては2024年度のモジュール構造を対象とした実験に向けて,精密制御用アクチュエータの性能向上を目的にした数値シミュレーションに基づく再設計と性能検証試験,および,単位ユニット構造の開発を行った. アクチュエータの再設計においては,内部に組み込む超磁歪素子の駆動効率を向上させるために,ホルダー形状を見直し,より薄型でコイルによって生じる磁界が効果的に素子に作用するよう改良した.また,周囲に設置するコイルの磁界強度を向上させるために,コイル自動製作機の開発にも取り組み,これまで手作業で行っていたコイル製作を自動化することを試みた.本装置は基本動作の確認まで完了しており,次年度では自動化を予定している. 単位ユニット構造の開発では新たに改良した圧縮材制用アクチュエータと張力材長さ制御装置を組み込んだ実験用構造を製作し,圧縮材と張力材の制御による形状制御性能を確認するための基礎的実験を行った.また,実験を行うとともに数値シミュレーションモデルを構築し,様々な条件下での形状制御性能の検討を実施するための環境を整えた. 試験結果より,これまでに開発してきたアクチュエータと比較して,性能の向上を確認し,圧縮材と張力材の制御によって大変形から精密形状制御まで広い範囲で形状制御性能を有することを確認した.
|
現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
3: やや遅れている
理由
2023年度の当初計画では2022年度終了課題において開発するスマートテンセグリティ構造を用いてモジュール型構造を構築し,基礎的な制御性能の確認と数値シミュレーションによる圧縮材制御ユニットの最適化を実施することとしていたが,2022年度終了課題の1年延長措置により,張力材と圧縮材のハイブリッド制御システムの構築に研究期間を必要としたために,本課題においては基本的な圧縮材制御ユニットの開発と動作試験を行うにとどまった. 一方で,アクチュエータ構築用のコイル製作装置,および数値シミュレーション用のプログラム開発は進捗しており,今後の試験用構造の最適化と大型実験に向けての予備計算を行う環境は整ってきている.
|
今後の研究の推進方策 |
2024年度は,昨年度までに製作したコイル製作装置,およびこれまで活用してきた時期解析ソフトを利用して,圧縮材制御装置の最適設計を行い,より効率的に圧縮材を制御することを目指す.また,単位ユニット構造を複数組み合わせたモジュール型構造の設計に取り掛かり,同時に数値シミュレーションによっていくつかの実験パターンを想定した形状制御性能の評価を行う. さらに,今後の宇宙環境を模擬した力学的特性試験を実施するための重量補償機構を備えた架台システムの基本設計にも取り掛かっていくこととする.
|
次年度使用額が生じた理由 |
ユニット構造の製作に至らなかったことにより,構造モデル製作用材料および,多点同時計測用のレーザ変位センサの導入を行っていないために,次年度使用額が生じている. 2024年度にはレーザ変位センサを追加導入するとともに,新たな磁歪素子入手ルートを確保できたことから実験用構造材料の調達を積極的に行っていく.
|