研究課題/領域番号 |
23K04241
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研究機関 | 北九州工業高等専門学校 |
研究代表者 |
山本 洋司 北九州工業高等専門学校, 生産デザイン工学科, 教授 (50707453)
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研究分担者 |
橘 武史 北九州工業高等専門学校, 生産デザイン工学科, 特命教授 (50179719)
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研究期間 (年度) |
2023-04-01 – 2026-03-31
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キーワード | アークジェットスラスタ / ジメチルエーテル / 再生冷却 / 反応促進 |
研究実績の概要 |
本研究はアークジェットスラスタのプロペラントにジメチルエーテル(DME)を用いた場合に発生する問題点、電極へのすすの付着による不安定放電を解消するため、再生冷却と反応を利用した放電安定化により高寿命、高性能化を目指すものである。 再生冷却機構によるプロペラントの予熱が性能に及ぼす効果を確認するため、再生冷却機構有り無しのスラスタを製作し、推力測定による性能比較を行った。再生冷却機構を備えた予熱型スラスタでのプロペラントであるDMEの温度は、比パワー20MJ/kgのとき動作開始60秒後で650K程度であった。再生冷却機構を持たない非予熱型スラスタと予熱型スラスタでは推力、比推力とも殆ど差は見られなかったが、予熱型スラスタでは動作開始から終了まで(90秒)放電電圧が安定していたのに対し、非予熱型では放電電圧が不安定になり、それに伴って推力も不安定になることが多かった。動作後の電極を見ると、どちらのスラスタとも陰極先端にすすが付着していたが、予熱型の方が少なかった。また、非予熱型のノズルのダイバージェント側の側面にはすすが付着していたが、予熱型では見られなかった。これらの結果からプロペラントであるDMEを予熱することはすすの付着低減による不安定放電解消に効果があることがわかった。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
再生冷却機構有り無しのスラスタを製作し、推力測定による性能比較を行い、プロペラントの予熱によるすすの低減効果が確認でき、この成果を学会にて発表した。よって、おおむね順調に進展していると言える。
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今後の研究の推進方策 |
プロペラント予熱によるすす付着の減少の要因を解明し、より効率よく予熱させるためのスラスタの設計を行う。 また、DMEに亜酸化窒素を添加することで反応を促進させ、すすの生成を抑制する手法を試みる。
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次年度使用額が生じた理由 |
すす減少の効果を調べるには排気ガスの分析が必要であるが、既存の排気ガス分析計の精度が低下していることがわかり、その修理や校正を行ったため「その他」の金額が増え、それに伴って「設備備品費」で購入する予定であったマスフローコントローラなどを次年度以降に購入することとしたため、その差額が生じた。 差額と当初予算を使用し、購入予定であった整備備品を購入する。
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