研究課題/領域番号 |
23K04252
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研究機関 | 九州大学 |
研究代表者 |
藤 公博 九州大学, 工学研究院, 助教 (80790716)
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研究期間 (年度) |
2023-04-01 – 2026-03-31
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キーワード | 全球測位衛星システム(GNSS) / 船体構造モニタリング / 船体変形計測 |
研究実績の概要 |
現在,船舶の自動運航・無人運航への期待が高まるなか,運航中の安全性を確保するためには船舶の状態監視システム(モニタリングシステム)の高度化・高精度化が求められるものの,現状のシステムでは数か所の位置で船体梁の縦曲げ応力を監視しているのみで,包括的かつ高精度に構造健全性を評価できるものではない. そこで本研究では,全球測位衛星システム(GNSS: Global Navigation Satellite System)を用いて実船の船体変形を計測し,船体構造モニタリングのための船体変形計測技術の研究開発を目指している. 2023年度には,2周波に対応したGNSSアンテナとモジュールを用いて計測システムを製作し,ローデータを用いた後処理測位演算をオープンソースRTKLIBで実施することで構築した計測システムの性能評価を行った.静的試験(基準局・移動局ともにGNSSセンサは定点保持)および動的試験(基準局となるGNSSセンサは固定で移動局となるGNSSセンサをスライダー上で移動させた状態)を実施し,上述のハードウェアおよびソフトウェアを組み合わせた計測システムを用いることで,水平方向に関しては10mm以下の高精度で,鉛直方向に関しては水平方向に比べてばらつきが大きいものの数10mm精度で計測が可能であることを確認した.また,GNSSセンサの周辺の環境(遮蔽物など)が計測精度にどのような影響を及ぼすかについて陸上試験を通じて検討した.
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
おおむね計画通りに進んでいるため.
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今後の研究の推進方策 |
開発した計測システムに関して,実船計測での適用に向けて無線で死活監視やデータ回収ができるように改良を行う予定である. その後,慣性航法装置(IMU: Inertia Measurement Unit)とカルマンフィルタ(KF: Kalman Filter)による精度・サンプリング周波数の向上について検討する予定である.
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次年度使用額が生じた理由 |
予定していた学会・講演会などがオンラインでも開催されたことに伴い,旅費等に係る支出が少なかったため.2024年度に実験用の消耗品と機器の追加購入,ならびに,より効率的に解析を進めるための計算機の購入に充てる予定である.
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