研究課題/領域番号 |
23K04285
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研究機関 | 一橋大学 |
研究代表者 |
中川 秀敏 一橋大学, 大学院経営管理研究科, 教授 (30361760)
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研究期間 (年度) |
2023-04-01 – 2026-03-31
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キーワード | 気候変動リスク / 温室効果ガス排出 / 信用リスク |
研究実績の概要 |
「温室効果ガス排出の企業財務へのインパクト」に関して、早稲田大学で開催された国際会議 10th International Congress on Industrial and Applied Mathematics (ICIAM 2023)のミニシンポジウムで、山中卓氏との共同研究 "Gross-revenue-based structural credit risk model" という題目で、売上・費用を独立してモデル化し、営業資産と非営業資産を区別してデフォルト確率を評価する新たな構造型モデルとその数値実験について発表した(口頭発表は山中氏担当)。本テーマに関しては国内学会でも1件の発表を行い、モデルの妥当性などについて議論を行い、モデルの改善を目指して研究を継続している。 また、同国際会議では気候変動リスクのファイナンスへの影響に関する資料収集に努め、特に本テーマに直接関連する売上・費用・温室効果ガス超過排出に対するペナルティを考慮した企業価値およびデフォルト確率評価モデルに接することができ、提案モデルの発展の方向性を検討するのに役立った。 くわえて「企業の炭素排出量と信用リスクの関係について」という題目の修士論文研究を行った関俊哉氏の研究指導を継続する形で、関氏を研究協力者として国内の研究集会で2件報告を行ってもらった。さらに、データ整備に協力いただき、そのうえで関氏の修士論文を発展する形で日本語論文にまとめてワーキングペーパーとして公開した。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
「温室効果ガス排出の企業財務へのインパクト」に関する資料収集は大いに成果があり、またそれを活用するための売上・費用ベースの信用リスクモデルの研究の方向性にも一定のめどがついたと考えている。論文作成にはまだ時間を要すると考えられるが、新型コロナ問題のため1年間延長していた別研究課題の論文作成にめどがついたこともあり、こちらの研究課題にエフォートを注力できることが見込まれる。
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今後の研究の推進方策 |
「温室効果ガス排出の企業財務へのインパクト」に関しては、山中卓氏との共同研究 "Gross-revenue-based structural credit risk model" を進めて、温室効果ガス排出の正負両面のインパクトについて、サーベイを行った関連研究のアイデアを取り入れ、モデルの理論インプリケーションおよびその数値実験・実証などを行い、論文としてまとめたいと考えている。 また、研究協力者の関氏の「企業の炭素排出量と信用リスクの関係について」論文の投稿・採択に協力する予定でいる。
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次年度使用額が生じた理由 |
研究分野の大きな国際学会が東京開催であったこと、国外で適当な国際学会が見当たらなかったことで、旅費が見込みより少なかったことが残額が生じた要因と考える。 2024年度も状況によるが、円安や物価上昇による出張費用を以前より高めに見積もっておくことが必要でもあり、学会参加のための参加費・旅費または英語論文のオープンアクセス費用として少し余裕を持たせておくことができると前向きに考える。
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