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2023 年度 実施状況報告書

イベントドリブン型リスクの伝播メカニズムの理論的探求と機械学習手法を用いた実証

研究課題

研究課題/領域番号 23K04292
研究機関東邦大学

研究代表者

高田 英行  東邦大学, 理学部, 教授 (00637423)

研究分担者 中川 秀敏  一橋大学, 大学院経営管理研究科, 教授 (30361760)
研究期間 (年度) 2023-04-01 – 2026-03-31
キーワード情報アプローチ / クレジットデリバティブ / 確率微分方程式
研究実績の概要

イベントドリブン型リスクの伝播についての実証分析を行うことを目的に、情報アプローチに基づくデフォルト伝播モデルの拡張を行った。具体的には、当初計画の最初の項目である、対象を社債からクレジットデフォルトスワップへと変えた場合にスワップスプレッド(理論プレミアム)がどのような確率的ダイナミクスを持つかを調べた。
クレジットデフォルトスワップの代表例として、ファースト・トゥー・デフォルトスワップを考え、そのスワップスプレッドが従う確率微分方程式を導出した。そのボラティリティ項は確率的に変動することがわかり(従って確率ボラティリティモデルとなり)、さらにボラティリティ項が従う確率微分方程式を導出した。ファースト・トゥー・デフォルトスワップは、参照プール内に最初に発生するデフォルトをトリガーとしてキャッシュフローが立つデリバティブ取引であるため、デフォルト伝播の影響がどのようなものになるか未知であったが、トレンド項とボラティリティ項の双方に影響があることがわかった。とくにボラティリティ項に対しては、参照プール内のふたつの企業のデフォルト時刻の共分散に関連する項が含まれ、デフォルト伝播に対応するリスクが内包されていることがわかった。
ここまでの内容を学術論文誌に投稿するため、準備している。

現在までの達成度 (区分)
現在までの達成度 (区分)

3: やや遅れている

理由

ファースト・トゥー・デフォルトスワップの理論プレミアムが従う確率微分方程式のみならず、シングルレファレンスのクレジットデフォルトスワップの理論プレミアムが従う確率微分方程式も導出する予定であった。しかし、ファースト・トゥー・デフォルトスワップのボラティリティ項が複雑な確率的挙動を持っているように見えたため、詳細に調べることとし、その確率微分方程式を導出する研究を優先させた。そのため、シングルレファレンスのクレジットデフォルトスワップの理論プレミアムが従う確率微分方程式については未着手のままとなった。

今後の研究の推進方策

(1)シングルレファレンスのクレジットデフォルトスワップの理論プレミアムが従う確率微分方程式の導出を行い、参照プール内のある企業がデフォルトした直後の別の生存企業の確率的ダイナミクス、即ちデフォルト伝播について研究を行う。
(2)ファースト・トゥー・デフォルトスワップの現在価値の変動をクレジットデフォルトスワップでヘッジする際、デフォルト発生後に顕在化するリスクについて、デフォルト伝播を考慮して研究する。
(3)iTraxx JapanやCDXなどのクレジットインデックスの確率微分方程式を導出するため、トップダウンアプローチのように増大情報系を簡略化する方策を探る。
(4)(3)を解決したあと、クレジットインデックスオプションの理論価格公式を導出する。

次年度使用額が生じた理由

当初の計画では、シングルレファレンスのクレジットデフォルトスワップの市場データを購入する予定であったが、その理論プレミアムが従う確率微分方程式の導出まで到達しなかったため、実際の市場データの購入を行わなかった。
2024年度は、市場データを用いる実証研究よりもデルタヘッジやクレジットインデックスの理論研究を優先させるため、大規模な市場データの購入を行わず、研究成果の対外発表のための旅費として使用する計画である。2025年度以降は、導出した確率微分方程式の数値計算のために有益な小規模データ(クレジットインデックスの時系列データを含む)の購入、および、高速で数値計算を行うための電子計算機の購入に充てる計画である。また、準備中の論文の投稿費用(オープンアクセス費用を含む)にも使用する計画である。

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公開日: 2024-12-25  

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