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2023 年度 実施状況報告書

心電図を用いて多種類の心疾患の識別を実現する軽量な深層学習モデルの開発

研究課題

研究課題/領域番号 23K04300
研究機関室蘭工業大学

研究代表者

岡田 吉史  室蘭工業大学, 大学院工学研究科, 教授 (00443177)

研究期間 (年度) 2023-04-01 – 2027-03-31
キーワード心電図 / ECGデータ / CNN / ECG画像 / Rピーク
研究実績の概要

本研究の目的は、単一かつ軽量な深層学習モデルで多種類の心疾患を高精度で自動識別する手法を開発することである。2023年度は、単一モデルで多種類の心疾患の識別を実現するため、Convolutional Neural Network (CNN)に基づく識別モデルの構築およびその評価を行った。以下にその成果をまとめる。
1)CNNに基づく識別モデルの構築:モデル構築のための学習データとして、公共の心電図(ECG)データベースであるPTBやMIT-BIHから収集された7種類の不整脈ECGデータが用いられた。開発モデルは、CNNを用いることで、ECGデータにおける複数のRピークをカバーするECG画像の特徴を学習する。これにより、ECGデータの形状異常およびRピークの間隔異常を同時にキャプチャー可能となった。
2)開発モデルの性能評価:7種類の不整脈ECGおよび正常ECGからなる8クラスに対し、Leave-one-subject out cross validationを用いて識別精度の評価を行った。結果、83.98%の精度(総合的な精度)、85.97%の感度、82.40%の特異度を達成した。感度においては、同様の評価を行った既存研究と比較して、30%以上の精度向上に成功した。

現在までの達成度 (区分)
現在までの達成度 (区分)

2: おおむね順調に進展している

理由

今年度の目標は、以前我々の研究グループで開発した心筋梗塞検出モデルを拡張し、単一モデルで複数の心疾患を識別するための新たなモデルを構築することであった。以前のモデルでは、ECGの形状異常の特徴検出は可能であったが、不整脈のようなRピーク間隔に異常を持つECGの特徴検出は不可能であった。そこで今年度は、ECGにおける形状異常と間隔異常の両方を検出可能な新たなモデルの開発を行い、8種類の異なる不整脈ECGデータに適用し、その有効性を確認することができた。以上より、今年度の達成度は「おおむね順調に進展している」と考えている。

今後の研究の推進方策

今年度開発したモデルは、感度においては既存研究と比較して30%以上の識別精度の向上を達成できた。しかしながら、特異度においては6%~12%の精度低下が見られ、総合的な精度は既存研究と同程度であった。次年度はさらなる性能向上と頑健性の獲得のため、アンサンブル学習をとりいれた拡張モデルを新たに開発し、性能評価を行っていく。

次年度使用額が生じた理由

2023年度中に研究で得られた成果をIF付の英文雑誌に投稿する予定であったが、年度内に論文を完成することができなかった。そのため、英文校正費および論文掲載費として支出する予定であった予算(228,542円)を2024年度に繰り越すこととした。

  • 研究成果

    (1件)

すべて 2023

すべて 学会発表 (1件)

  • [学会発表] 心電図波形の形状と間隔に異常を示す不整脈の識別に関する研究2023

    • 著者名/発表者名
      蠣崎龍也, 岡田吉史
    • 学会等名
      第25回日本感性工学会大会

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公開日: 2024-12-25  

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