研究課題/領域番号 |
23K04310
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研究機関 | 東洋大学 |
研究代表者 |
鈴木 宏典 東洋大学, 理工学部, 教授 (20426258)
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研究期間 (年度) |
2023-04-01 – 2026-03-31
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キーワード | 異常検知 / パーティクルフィルタ / 異常運転行動 / ドライバ状態推定 / ドライバモニタリング |
研究実績の概要 |
本研究の目的は,自動車を運転するドライバが潜在的に有する異常を事前に検知する技術を開発し,その性能を評価することである.加えて,異常が検知された際に,その数秒後に生じるリスクを予測することを目的としている. 2023年度は,潜在的な異常運転行動を検知する技術を開発することを目的とし,以下の項目を実施した. (1) まず,人間の運転行動をドライバモデルとして表現する必要があるため,ドライバモデルを選定した.先行研究を調査した結果,世界でも幅広く利用されている「インテリジェントドライバモデル(以下,IDM)」を利用することとした. (2) IDMを構成する5つのパラメータには,異常を含むドライバの状態,特性が反映されていると考え,パーティクルフィルタと呼ばれる最適推定手法を用い,IDMのパラメータを動的に推定した結果,ドライバの実際の運転行動を高い精度で推定できることを確認した. (3) 推定したIDMのパラメータからドライバの異常を検知する手法を検討した.先行研究等を参考に取り組みを進めた結果,ドライバモデルパラメータを用いて,先行車に対する注意力の有無を判別する手法を開発した.先行車への注意力が必要な運転場面において,その注意力が欠如しているときに,異常であると定義した. (4) ドライビングシミュレータ実験を実施し,取得した実際のドライバの運転行動データを用いて提案した手法を検証した結果,高リスクな運転環境でも先行車への意識が欠如しないドライバの存在や,逆に先行車への意識が容易に低下するドライバの存在を明らかにすることができた.ドライバが潜在的に有する通常とは異なる異常運転を浮き彫りにすることに成功した.
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
潜在的な異常を検知する新たな手法を独創的な観点から提案,開発し,実データを用いてその性能を評価検証できた点において,概ね順調に進展していると自己評価した.しかしながら,今年度は所属機関を異動した年度であり,研究室の立ち上げ等に予想外に時間を要したため,研究論文等の成果発表まで十分対応できなかった.成果を発表するための取り組みは十分実施したため,次年度以降に成果を発表するように引き続き研究を進める.
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今後の研究の推進方策 |
2025年度(2年目)は,2024年度(1年目)に開発した異常検知技術のプロトタイプを様々な運転環境で検証することを目的とする.様々な属性を持つドライバや一般的に想定されうる様々な走行環境をリスクの高い状況も含めてドライビングシミュレータに模擬し,被験者実験を通じて質の高い多くのデータを収集する. そして,開発した異常検知技術をこれらデータに適用し,その検知性能を定量的に評価し、その妥当性や有用性、既存手法との優位性を詳細に検証する.より多くの一般的な環境で提案技術を評価し,必要に応じて追加の機能や修正を加え,異常検知技術をより確固としたものにするべく,引き続き研究を進める.
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次年度使用額が生じた理由 |
今年度,所属機関を異動した年度であったため,研究開発環境の立ち上げ及び本務の教育への準備と対応に予想以上の時間を要した.このために,計画段階当初で予定していた研究発表や論文執筆,英文校閲等の予算が執行できず,残額が生じた.異動に伴う環境整備は概ね整ったので,残額は研究成果の発表等に適切に使用し,本来の配分額もより質の高いデータの取得と効率的なデータの解析及び研究成果の発表に計画通りに執行予定である.
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