研究課題/領域番号 |
23K04345
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研究機関 | 京都大学 |
研究代表者 |
米山 望 京都大学, 防災研究所, 准教授 (90371492)
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研究分担者 |
馬場 康之 京都大学, 防災研究所, 准教授 (30283675)
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研究期間 (年度) |
2023-04-01 – 2026-03-31
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キーワード | 黒津波 / 数値解析 / 密度効果 / 津波波力 |
研究実績の概要 |
本研究では底泥を巻き込んで密度が上昇した津波(黒津波)がもたらす被害について検討する。今年度は、検討のための数値解析コードを構築しその妥当性を検証したうえで、数値実験を行い、密度が上昇した津波の波力が密度増加割合以上に上昇するメカニズムについて検討した。具体的には、 a) 三次元土砂移動解析モデルの開発:黒津波挙動を再現できる解析モデルを構築し、水理実験結果と比較してその解析精度を検証した。今年度は土砂を巻き込んでいない通常の津波が防潮堤に衝突した場合の実験結果を対象とし、防潮堤前面での水位時系列や防潮堤に作用する津波波力の比較を行った。その結果、①防潮堤が水中に設置されているケース、すなわち、防潮堤前面に水深がある場合には、本解析の解析結果は実験結果を高精度に再現することが明らかになった。一方、②防潮堤前面に水深がない場合には、実験結果を概ね再現するものの、解析が不安定になることがわかり、今後の課題とした。 b) 黒津波の波力増加メカニズムの解明:上記モデルを用いて、津波の密度および粘性を変化させる数値実験を行った。その結果、①防潮堤が水中に設置されているケースでは、防潮堤が受ける津波波力は、津波密度の上昇割合を上回った割合で上昇することが分かった。そのメカニズムについては今後の課題とする。また、②防潮堤前面に水深がない場合には、津波波力は津波密度の上昇割合と概ね同程度の上昇であることが分かった。また、粘性を変化が津波波力に与える影響は大きくないことが分かった。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
当初の予定通り、三次元土砂移動解析モデルを構築して、その精度を水理実験と比較して検証するとともに、黒津波の波力増加メカニズムの解明のための数値実験を行い、黒津波の密度変化と津波波力の変化との関係に関する知見を得ているため、上記区分のように判断できる。
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今後の研究の推進方策 |
次年度は以下の項目について検討する。 1)密度上昇にともなう津波波力増大メカニズムの解明:今年度の検討の結果、密度上昇の割合以上に波力が増大する場合があることが分かった。次年度は、どのようなメカニズムで波力の増大が生じるのかについて、さまざまな解析を行って明らかにしていく。 2)黒津波発生のための解析モデルの構築:今年度の検討では、すでに密度が上昇した状態の津波を対象に検討したが、実際には、ある地点における底泥を巻き上げることによって黒津波が生じる。そのため、次年度は、底泥の巻き上げを適切に予測評価できる解析モデルの構築に取り組む。
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次年度使用額が生じた理由 |
当初予定していた数値解析用計算機の購入を、研究の進捗に合わせ次年度に先送りしたため。 次年度は、大規模な数値実験の実施と底泥の巻き上げを考慮した数値解析モデルの構築を並行して行うため、数値解析用計算機を購入して対応する。
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