研究課題/領域番号 |
23K04394
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研究機関 | 山梨大学 |
研究代表者 |
佐藤 哲也 山梨大学, 大学院総合研究部, 准教授 (60252011)
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研究期間 (年度) |
2023-04-01 – 2026-03-31
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キーワード | フルオロカーボン / PTFE / 電子励起 / プラズマ / 極低温 / EXAFS / 表面処理 |
研究実績の概要 |
本研究課題の目的は、緻密性に優れかつ接合性に優れたフッ素含有非晶質カーボン(a-C:F)やテフロン(PTFE)に近い化学組成の薄膜の、機械的な強度や基材との密着性をかためるためのプロセスを開発することにある。種々の基材表面界面における化学結合状態を明らかにした。薄膜の緻密性と膜の機械的強度を高めるためにジフロロメタン(CH2F2)を用い、液体窒素近傍の極低温下でSi基板や金属性基板上に成膜しその物性を明らかにした。また、テトラメチルシラン(TMS)を混合し諸物性のTMA濃度/Si含有濃度の依存性を調査した。膜質の成膜条件(試料ガス種、放電ガス種(H2, He)および導入量、基板温度等)依存性を系統的に調べた。化学組成(水素、炭素、フッ素、酸素)やその化学結合状態をX線光電子分光装置(XPS)により、吸収端近傍X線吸収微細構造分光法(NEXAFS)により炭素の結合状態(sp2,sp3の相対日)を解析した。さらに、金型表面にSi添加a-C:Fを成膜しエラストマー射出成型により離型性を評価した。Si添加した場合、母材と膜の密着性が向上し、耐久性が著しく改善されたことから、金型に表面改質技術としての有効性を示唆する結果が得られた。上記の、NEXAFSやXPSの解析を中心とした研究成果を応用物理学会で発表した。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
3: やや遅れている
理由
成膜装置の真空排気用ターボ分子ポンプが故障したため、実験遅延と計画の変更が生じた。 高周波放電プラズマ発生装置の導入を延期し、既存の直流放電管を使用して研究を遂行した。2年次終了時点で研究計画の遂行に支障は無い見込みである。
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今後の研究の推進方策 |
Si添加によりa-C:F薄膜と基板との密着性が大幅に改善される可能性を示唆する結果が得られた。今後、a-C:FのSi添加による薄膜表面の反応を明らかにし、a-C:F薄膜の諸物性をより詳細に調査していく。具体的には、1)XPSを用いて化学組成や結合状態のTMS添加濃度依存性の調査をはじめ、NEXFASにより炭素のsp2-sp3比を、ESRにより欠陥密度計測を行う。2)密着強度試験得御行い金型の射出成型試験と併せて、薄膜の耐久性評価を行う。3)銅箔にa-C:Fを堆積し低誘電率や高周波特性など電気特性を明らかにする。
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次年度使用額が生じた理由 |
成膜装置の真空ポンプが故障したため、実験遅延と計画の変更が生じた。真空ポンプの代替品をR6年度に購入し、R5年度購入予定であった高周波プラズマ源(特注)の購入をR6年度に延期することになった。真空ポンプは中古品のため高額ではなく、R5年度およびR6年度の真空部品費や液体窒素の費用の一部をポンプ購入に補充することが可能である。復旧までに主に直流放電管を使用して実験実施することで、研究計画の遂行に支障は無い。
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