研究課題/領域番号 |
23K04412
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研究機関 | 室蘭工業大学 |
研究代表者 |
亀川 厚則 室蘭工業大学, 大学院工学研究科, 教授 (90292242)
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研究期間 (年度) |
2023-04-01 – 2027-03-31
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キーワード | 水素化物新機能 / アンモニア |
研究実績の概要 |
脱炭素社会の実現にむけて、火力発電の燃料として重要性が増すアンモニアを高効率で生産するために低温・低圧で機能する高活性な触媒の開発が求められている。近年エレクトライド (電子化物)化合物がRu触媒担持する促進剤として期待されている。研究代表者らは高圧相のトポタクティックFCC希土類水素化物を元素添加などによって常圧下の安定化に成功し、トポタクティック水素化物の希土類の材料設計範囲を拡大し、さらに遷移金属を置換できることを報告した。トポタクティックFCC-La水素化物がエレクトライドであるという報告を受けて、研究代表者らの予備実験でもFCC希土類水素化物もアンモニア合成触媒の担持促進剤として機能する手応えを得た。本研究は、材料設計によってトポタクティック希土類水素化物を最適な電子供与促進剤として働く高効率なアンモニア合成触媒の開発を目的とする。 ルテニウム触媒の担持促進剤 (Ru触媒の担持体)として、我々が合成したFCCイットリウム水素化物を、1気圧の窒素+水素混合ガスに供したところ、250℃以上でアンモニアの合成を確認した。アンモニア転換率などは未検討ながら、これまでの酸化物系エレクトライドを用いた触媒より低温かつ常圧付近で合成可能であることが期待される。未だ反応条件や触媒や担持促進剤の組成やモーフォロジーの最適化によって、アンモニア合成の転換率や合成速度を向上させ得ると考えている。特にFCC希土類水素化物の水素含有量を変化させることで、仕事関数が変化し、種々の電子供与触媒能の向上が強く期待される。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
調書作成時通り、本年度は種々のFCC安定化希土類について、希土類元素(RE=La, Y, Smなど)や、水素含有量REHx (x= 2-3)を変化させて、その仕事関数など電子特性の変化について調査することを開始し、期待された結果も得られつつあり。 これら様々な組成の希土類水素化物をRu触媒の担持体に用いて、アンモニア合成反応に供し、N2+H2混合ガスからのアンモニア転換率などの触媒特性を、雰囲気、温度などを変化させて調査する環境も整え、最適アンモニア合成条件を調査を開始した。
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今後の研究の推進方策 |
引き続きアンモニア転換率などの触媒特性を、雰囲気、温度などを変化させて調査する環境も整え、最適アンモニア合成条件を調査を行い、アンモニア合成のためのRu触媒を担持する希土類元素の最適化を行う。また、アンモニア分解触媒としての機能検討として、遷移金属にFe, Co, Niと水素含有量の異なるFCC安定化希土類水素化物を組み合わせた触媒を用い、アンモニアの分解反応(合成の逆反応)の検討を開始する。
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