研究課題/領域番号 |
23K04482
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研究機関 | 福岡大学 |
研究代表者 |
三島 健司 福岡大学, 工学部, 教授 (40190623)
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研究分担者 |
シャーミン タンジナ 福岡大学, 工学部, 助教 (00794182)
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研究期間 (年度) |
2023-04-01 – 2026-03-31
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キーワード | 超臨界流体 / 二酸化炭素 / 超音波 / マイクロカプセル |
研究実績の概要 |
本研究において、当初の計画以上に進展している。本研究では,高圧ガス-水系に超音波を直接照射することで形成されるナノ界面空間の構造制御方法を確立し,医療用高機能高分子ナノカプセルの調製法の構築を目指した.医療用ナノカプセルの課題は,①有害有機溶剤を使用しない生産性の高いプロセス,②薬剤内包率,③体内目的部位への静脈内投与薬物送達率である.本研究者は、有機溶剤を全く使用しない薬物内包ミセル(MC)・リポソーム(LS)調製法として,世界に先駆けて高圧ガス-水系で超音波直接照射によりナノMC・LSの調製に成功した.高圧ガス-水系に超音波を直接照射することで,リポソームを調製する新規の技術を既に開発しており、特許化、論文化も成功している.特許については、JSTの補助によりPCT出願している.これらの技術を発展させ,2023年は,既存の超音波照射型装置により,生分解性高分子PLAを用いて,亜鉛フタロシアニンなどの疎水性薬剤の高分子ナノカプセル調製を行い,ポリエチレングリコール-ポリ乳酸(PEG-PLA)ジブロック共重合を添加してカプセルの貪食細胞ステルス化を培養貪食細胞で検討した.従来のリポソーム集合体では,体内での安定性に欠けるため,マクロファージなどの貪食細胞に捕食され,体内動態時間を長く保ち薬の効果を持続させることが困難であった.しかし,本研究により、高分子によるナノカプセルの高機能化実現し薬の効果を長く保持できたことの意義は大きい.操作因子と薬剤の内包率,粒径の関係を明らかにした.2024年に予定していた親水性薬剤のナノカプセル化とラットを用いた薬理活性評価も行い,操作因子による界面への影響を実測した.
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
1: 当初の計画以上に進展している
理由
当初の計画以上に進展し,現在,大学へ特許を申請し,国際雑誌への論文投稿を準備している.当初の計画以上に進展している理由として,研究の計画性と長年の科研費の補助(20回)により蓄積してきた高圧技術に関する知見と充実した装置の準備状況が考えられる.本研究では,CO2や窒素の高圧ガスと水のナノサイズの気液界面を利用して,界面活性物質(ポリエチレン(PEG)側鎖と疎水高分子鎖を有する)と被覆用高分子を添加し,高濃度薬剤含有ナノ高分子相をナノ粒子内に形成することを目的とした.2023年,超音波照射型装置により,生分解性高分子PLAを用いて,疎水性薬剤の高分子ナノカプセル調製を行い,ポリエチレングリコール-ポリ乳酸(PEG-PLA)ジブロック共重合を添加してカプセルの貪食細胞ステルス化を培養貪食細胞で検討した.操作因子と薬剤の内包率,粒径の関係を明らかにした.2024年に予定していた親水性薬剤のナノカプセル化とラットを用いた薬理活性評価も行い,操作因子による界面への影響を実測した.
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今後の研究の推進方策 |
既に,疎水性薬剤の高分子ナノカプセル調製ならびに体内動態試験によるポリエチレングリコール-ポリ乳酸(PEG-PLA)ジブロック共重合添加カプセルの貪食細胞ステルス化成功したので,今後,親水系薬剤の高分子ナノカプセル調製ならびに体内動態試験によるポリエチレングリコール-ポリ乳酸(PEG-PLA)ジブロック共重合添加カプセルの貪食細胞ステルス化を実験的に検討する.さらに、ソフトウェアProcessingによるシミュレーション開発を行う. また,大学へ申請した特許申請が認められたら,特許化し、国際雑誌へ論文を投稿する.
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次年度使用額が生じた理由 |
次年度使用額が生じた理由としては、当初予定していた装置よりも安価な装置が入手できたためである。既に,疎水性薬剤の高分子ナノカプセル調製ならびに体内動態試験によるポリエチレングリコール-ポリ乳酸(PEG-PLA)ジブロック共重合添加カプセルの貪食細胞ステルス化成功したので,今後,親水系薬剤の高分子ナノカプセル調製ならびに体内動態試験によるポリエチレングリコール-ポリ乳酸(PEG-PLA)ジブロック共重合添加カプセルの貪食細胞ステルス化を実験的に検討する.さらに、ソフトウェアProcessingによるシミュレーション開発を行う. その際,円安(1ドル155円程度)の効果もあり高額な海外試薬や高圧力用部品が必要なため試薬代として使用する。さらに、ソフトウェアProcessingによるシミュレーション開発を行う. また,大学へ申請した特許申請が認められたら,特許化し、国際雑誌へ論文を投稿するために使用する.
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