今後の研究の推進方策 |
検討項目①について,担持方法の種類や担持量の範囲を拡大することで,より高活性なPt/ Ti2O3を調製する.アークプラズマ蒸着法など担持方法の種類をさらに拡大する.また,Ptの還元方法を水素還元だけでなく,NaBH4など他の還元剤を用いた方法も検討する.担持量によって活性が大きく異なることもわかっているので,担持量の範囲を拡大して,最適な担持量を幅広く探索する.さらに,Ti2O3表面のTi3+は反応性が高く速やかにTi4+に酸化されるため,担持前に担体を還元前処理する効果も検討する. これまでに得られたPt/ Ti2O3についてXRD, XPS, CO-IR, CO-Pulse, SEM, TEMなどを用いた詳細なキャラクタリゼーションを行って, Pt/ Ti2O3が高活性を示す理由を究明する. 検討項目②について,Co/Ti2O3がTiO2など他の担体を用いた触媒と比較してアニソールの水素化脱酸素反応に対して高い活性を示すことを見出しており,このCo/Ti2O3で高い活性が発現する理由を解明する.Ti2O3が強い還元性を示し,担持されたコバルト酸化物を還元したことで高活性が発現したと考えており,これについて重点的に分析する.Co3O4とTi2O3の間の酸化還元と構造変化のメカニズムを明らかにするため,触媒調製過程,反応前後の触媒サンプルに対してXRD, XPS, CO-Pulse, TEMなどを行う.また,一般的に水素化脱酸素反応では,触媒の水素活性化能が高いことが有利である.この点についても,Co/Ti2O3およびTiO2など他の担体を用いた触媒の水素活性化能を,H2-TPDなどの分析方法によって調べる.触媒反応,キャラクタリゼーションの結果を総合的に勘案して,Ti2O3がコバルトの担持状態,触媒性能に及ぼす影響を考察する.
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