研究実績の概要 |
CHA型ゼオライト中へのAlペアサイト構築・量制御が可能な独自技術である「転写法(M. Yabushita, et al., Chem. Commun. 2021, 57, 13301-13304)」を拡張するとともにその汎用性を実証することを目的として、他の骨格構造(MFI型ゼオライト)中へのAlペアサイト構築と、CHA型ゼオライト中への他の異種金属(Ga)ペアサイト構築に取り組んだ。まず、錯体重合法によって、Al(もしくはGa)を多く含有する非晶質シリカ-アルミナ(もしくは非晶質シリカ-ガリア)を調製した。これを原料に用いて、適切な構造規定剤存在下で水熱処理を行い、目的とする骨格構造を持つゼオライトを得た。種々のキャラクタリゼーション(特に固体29Si MAS NMR分光法あるいはCo2+をプローブとしたイオン交換容量測定)から、合成した各ゼオライトにはAlペアサイト(あるいはGaペアサイト)が確かに構築されていること、また、ペアサイト量は、原料に用いる非晶質複合酸化物を母ゲルに分散させてからの時間に対して火山型の依存性を示すことが分かった。これらの結果は、転写法が複数種類の骨格構造あるいは異種金属にそのまま適用可能であり、世界初の汎用的ペアサイト構築法であることを意味するものである。 次に、Gaペアサイト含有CHA型ゼオライトについて、アンモニアをプローブに用いる昇温脱離法によって酸点量と強さの評価を行った。Gaペアサイト含有量の多いゼオライトほど、元々骨格内に存在していたGa種が脱離し易く、生成した骨格外Ga種は強いLewis酸点として振る舞うことが示唆された。
|