研究課題/領域番号 |
23K04510
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研究機関 | 静岡県立大学 |
研究代表者 |
伊藤 創平 静岡県立大学, 食品栄養環境科学研究院, 准教授 (70372836)
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研究分担者 |
藤浪 大輔 静岡県立大学, 食品栄養科学部, 助教 (50805364)
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研究期間 (年度) |
2023-04-01 – 2026-03-31
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キーワード | 進化分子工学 / タンパク質工学 / AI配列デザイン / アルカリフォスファターゼ / GABA合成酵素 |
研究実績の概要 |
酵素が持つ多様な機能は、構造生物学な理解と進化分子工学的手法により改変することで、幅広い産業分野で活用されてきた。しかし酵素は、保存性の低い一次構造と多様な高次構造を持ち、複雑かつ動的な相互作用が機能と相関する、難解析性生体触媒である。特に、物質生産に耐えうる高機能な酵素が開発、産業利用されている例は極めて少い。しかし、次世代シーケンサーに引き続くAlphaFoldがもたらした2つのパラダイムシフト は、圧倒的な量と質の配列データと構造データを生み出している。我々は、配列データもしくは立体構造データをもとに、多様な酵素の多面的な機能の制御を目指している。本年度は、大腸菌体内で可溶性発現しない、好冷菌由来アルカリフォスファターゼを、配列情報とRosettaを組み合わせた2つの手法、PROSSおよびGAOptimizerで改良することを試行した。結果、配列情報を用い、アルカリフォスファターゼの可溶性発現・安定性・活性などのパラメータが改善した。いずれの手法も機能改善に必要な変異の組み合わせを最適化する事が可能である事が判明した。また、当研究室および共同研究において、SSN解析と立体構造予測により新規な脂質転移酵素を発見、インシリコスクリーニングと祖先型設計により高機能なペプチド転移酵素を創出し誌面発表を行った。GABA合成酵素に加え、これら酵素も配列設計により更なる高機能化が可能であるか検討したい。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
3: やや遅れている
理由
点変異予測の精度向上を目的として、GABA合成酵素の点変異体の予測、及び検証実験を行った。しかし、天然型への点変異実験において、天然型GABA合成酵素の不安定性や活性の低さから、変異の有効性を効率よくスクリーニングすることが困難であった。
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今後の研究の推進方策 |
静岡県立大学で開発されたGAOptimizerは、複数の配列ライブラリーおよび、変異の評価に複数のパラメータを用い、酵素・タンパク質のインシリコ分子進化により機能を高める手法である。本手法をGABA合成酵素にも適用し、研究を推進する。
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