研究実績の概要 |
疎水性イオン液体1-butyl-1-methylpyrrolidinium bis(trifluoromethanesulfonyl)imideと培地を含む液液二相系に、抗がん剤パクリタキセルの生産能をもつイチイ培養細胞を播種して培養を行うと、培養細胞のパクリタキセルの生産性が向上する知見を得ており、この要因として、培養液からイオン液体へのパクリタキセル抽出効果とイオン液体自身のエリシター的作用が考えられていた。イオン液体によるパクリタキセル抽出効果を検討するために、イオン液体のみを適宜交換する培養を行ったところ、パクリタキセルと関係するタキサン類の生産量が向上し、パクリタキセル抽出効果が大きいことを見出した。また、イオン液体のエリシター的作用としては、そのストレス性にあると予想し、酸化ストレスの指標となる活性酸素種(ROS)とパクリタキセルのそれぞれの生産量との関係を検討した結果、正の関係があることが実験的にわかり、イオン液体のエリシター的作用の原因はそのストレス性にあることもわかった。この結果を国際専門誌に投稿し、掲載されている。(D. NAGATA, W. NISHIKAWA, Y. IZAKI, S. YAMAMOTO, S. HAYASHI, and H. MIYASAKA, Effective Production of Paclitaxel and the Related Taxanes in a Plant Cell Culture by in situ Extraction with Sequential Refreshment of Water-Immiscible 1-Butyl-1-methylpyrrolidinium Bis(trifluoromethanesulfonyl)imide, Solvent Extr. Res. Dev., Jpn., 30, 169-175, 2023)。
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