研究課題
1. CNTの光捕集機能を確認するために必要なC60デンドロンの合成検討を行った。当初の合成計画では目的分子が得られなかったため、合成計画を変更し、検討を続けている。2. CNT表面にフェロセン色素を導入した新たな光誘起電子移動系の構築に成功した。この表面にC60デンドロンを導入することで、電子抽出能が向上することを見出た。これにより、色素の光捕集機能とCNTの光捕集機能を、同様なナノ構造で比較することが可能となった。3. CNTの光捕集機能を確認するために必要な、高活性助触媒の開発を行い、TiO2-Ptナノ粒子が、高い活性を示すことを見出した。4. CNTと同様に、励起子の束縛エネルギーが高く、光捕集機能が期待される遷移金属ジカルコゲニドの表面物理修飾を利用した光触媒機能を確認した。5. 具体的には、MoSe2/C60を光増感剤として用いる水素製造に成功した。6. WS2/アントラセン、および、MoS2/アントラセンを光増感剤として用いる水素製造に成功した。
2: おおむね順調に進展している
当初目的としていたC60誘導体の合成には至っていないが、分子デザインを変更することで、解決できる見込みである。また、高活性な助触媒の発見、CNT表面への色素導入、遷移金属ダイカルコゲナイドの利用など、当初の見込みを超えた成果が上がりつつある。
1. C60デンドロンの末端に導入する金属錯体リガンドを、ビピリジンからフェナントロリンに変更することで、前駆体の合成まで成功しているので、引き続きC60デンドロンの合成検討を続ける。2. CNT表面にフェロセン色素を導入した新たな光誘起電子移動系を利用し、色素の光捕集機能とCNTの光捕集機能を、同様なナノ構造で比較する検討を継続する。2. 遷移金属ダイカルコゲナイドの光捕集機能を確認可能な光触媒系を発見したので、触媒系の改良と光捕集機能の確認について検討を進める。3. 低次元ナノ材料の光捕集機能を明らかにするための電子移動界面構築法について、引き続き検討を進め、これまで明らかになっていなかった光捕集機能の評価を可能とする。
研究に必要な消耗品の購入にあたり、教育研究基盤経費で経費を賄うことができた。今後、研究遂行に必要な高額な消耗品(分取液体クロマトカラム 100万円、超純水製造装置イオン交換樹脂 40万円)などの購入も予想されていることから、本年度の執行率を低く抑えた。なお、研究は、研究計画通りに進行しており、執行率が低いことにより研究計画に影響は出ていない。次年度は、上記の高額消耗品に関わる装置の運用状況をみながら、性能劣化が見られた時点で、ただちに購入予定である。主な内訳は、分取液体クロマトカラム 100万円、超純水製造装置イオン交換樹脂 40万円などを予想している。
すべて 2024 2023 その他
すべて 雑誌論文 (2件) (うち査読あり 1件) 学会発表 (4件) (うち招待講演 4件) 備考 (1件)
Bull. Chem. Soc. Jpn.
巻: 96 ページ: 57-64
10.1246/bcsj.20220308
触媒(Catalysts and Catalysis)
巻: 65 ページ: 23-28
https://sites.google.com/view/taklab/home