研究課題/領域番号 |
23K04535
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研究機関 | 北陸先端科学技術大学院大学 |
研究代表者 |
後藤 和馬 北陸先端科学技術大学院大学, ナノマテリアルテクノロジーセンター, 教授 (20385975)
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研究分担者 |
高橋 勝國 岡山大学, 環境生命自然科学学域, 助教 (90908196)
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研究期間 (年度) |
2023-04-01 – 2026-03-31
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キーワード | 炭素材料 / NMR / オペランド観測 / 全固体電池 / 硫化物 |
研究実績の概要 |
本研究ではリチウム擬金属クラスターと微小リチウムデンドライト(枝状金属)を分別観測できる唯一の手法である固体核磁気共鳴(NMR)の高感度オペランド分析を用い、炭素細孔内に生成するリチウム擬金属ナノクラスターの形成機構およびリチウムの吸蔵状態を解明すること、および、この知見に基づき、全固体電池に適した炭素材料の構造を明らかにし新たな吸蔵方式による高容量負極を実現することを目的として検討を進めた。初年度は硫化物系全固体電池におけるLiの細孔性炭素内での吸蔵状態および吸脱着機構を解明するため、NMRプローブの構造最適化と、硫化物系電池用に高加圧の保持が可能な測定セルシステムの開発を進めた。当初計画していたセルを実際に作製し、その充放電挙動を確認したところ初期不可逆容量、サイクル性能とも問題が生じ、そのままでは炭素の検討に用いることができない状況であった。セルの密閉性および内部加圧の不足が問題の原因と考えられたため、これらに対する対策を施した新規セルを設計、試作し、再実験を行った。その結果、これまでのNMR測定用硫化物セルに比較して容量維持率が飛躍的に改善した測定セルシステムを作製することができた。次年度から予定している本格的なオペランド実験のために必要な実験系を構築できた。 本研究結果については第36回日本吸着学会研究発表会などの国内学会にて発表を行ったほか、2023年7月にフランス・ナンシーで開催されたISIC21国際会議で講演にて成果を報告した。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
研究はほぼ予定通りのスケジュールで進展できている。研究開始当初は実験結果が芳しくなかったため、当初計画していたセルとは構造を変えたセルを新たに設計、試作することになったが、新規試作セルによりセルの充放電特性が大幅に改善できている。
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今後の研究の推進方策 |
当初の予定通り、大粒径ナノクラスターの生成が示唆されている細孔性炭素材料(細孔径0.6~3 nm)についての充放電挙動及びLiの吸蔵挙動の観測と、細孔サイズとクラスターの生成挙動の関係調査を開始する。この結果から、大粒径ナノクラスターが生成する細孔構造を考察する。
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