研究実績の概要 |
2023年度は液晶の配向制御に用いるポリマーの合成を主として行った。 具体的には1,3-プロパンジアミンとアクリル酸メチルをマイケル付加により反応し、Boc保護後、加水分解した。末端を活性エステルで処理した後、1,3-プロパンジアミンと反応させ、Boc基を脱保護後イオン交換処理することによりプロピレンイミン骨格を有するポリアミドを合成した。同様にして1,4-ジアミノブタン、N-(tert-ブトキシカルボニル)イミノ二酢酸、エチレンジアミン-N,N'-ジプロピオン酸からそれぞれポリアミドを合成した。 これらのポリアミドはいずれも水溶性であり、基盤上で乾燥させることで薄膜化させることができた。また反応性基であるイミン部位から化学修飾することができ、疎水性と親水性を調節することが可能となる。またイミン部位は種々の安価な酸クロリドと反応できるため、アンカリング性能を化学修飾で調整できる。そのため液晶の配向制御をする上で有効なポリマー材料であると考えられる。 また合成したポリアミドはアミド基をボラン還元することにより純粋に二級アミンの主鎖骨格からなる長鎖のポリアミンに変換することが出来た。本手法を用いることでエチレンイミンやトリメチレンイミン、テトラメチレンイミン部位が規則的に配列した長鎖のポリアミンを合成することが可能となった。ポリアミドと比較してより水溶性が向上しており、高密度で官能基修飾ができるので、これらのポリアミンも配向制御をする上で有効な材料と考えられる。
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