研究課題/領域番号 |
23K04560
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研究機関 | 麻布大学 |
研究代表者 |
三澤 宣雄 麻布大学, 獣医学部, 講師 (70442530)
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研究期間 (年度) |
2023-04-01 – 2026-03-31
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キーワード | 匂いセンサ / 脂質二重膜 / 嗅覚受容体 |
研究実績の概要 |
本研究は人工生体膜の電位計測用に作製した微小チャンバー内での嗅覚受容体の再構成および匂い物質検出の高感度化を最終目的として、2023年度は脂質膜形成のためのデバイス作製と電位計測準備に注力した。 はじめに計測用デバイスとしてテフロン製のチャンバーを試作し、横穴が設けられた2つのチャンバーが細孔を有する1枚のシートを挟み込むデザインとした。当初は鉛直方向上下に生体膜内外を模したcis-trans領域を設ける計画であったが、脂質膜形成の際に液量やチャンバー形状が等しい二領域間に脂質膜を設ける方が安定した膜になると判断し、上記のデザインとした。脂質膜の支持体となる細孔を有するシートを様々な材料で検討した結果、溶液のろ過操作に用いられるフィルターが有効であることを見出し、一定の処理を施すことで当該フィルターを介して導通が取れることを確認した。 2023年度の後半からは市販品として入手可能な膜タンパク質を用いて形成脂質膜が二分子膜であることの確認に入る計画であったが、前述の細孔を有する膜材料の選定とその処理方法の探索に時間を要したことと、膜電位計測用の小型増幅器の調達が遅れたことから研究進捗は前述の段階にとどまっている。また、ミネラルオイルを介した揮発性有機分子の水溶液への溶け込み量の評価も並行して行う予定であったが、前述と同様の理由から未着手である。しかしながら、これまでになく簡便に脂質膜の支持体を設定できる可能性を見出したことで、液-液界面で形成される脂質二重膜の実験加速が今後、期待できる。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
3: やや遅れている
理由
2023年度の目標は「脂質膜形成デバイスの作製と膜タンパク質再構成系の試行」であり、デバイス作製についてはほぼ達成できたが、脂質膜-膜タンパク質の再構成系の実験までは至っていないため。また、匂い物質の溶け込み評価実験や雰囲気ガスの取り込み機構の検討は未着手に終わり、当初の計画よりも進捗がやや遅れていると判断した。
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今後の研究の推進方策 |
形成した脂質膜が二分子性の膜であることを市販の膜タンパク質を用いて最優先で確認し、学会等での対外発表に臨む計画である。また、2024年度後半では電位計測チャンバー内での嗅覚受容体の無細胞発現に着手したい。発現させる嗅覚受容体は当初の計画通り、昆虫の化学受容体を想定している。しかしながら、進捗が芳しくない場合は計測チャンバーとは独立した系で脂質小胞共存下での無細胞発現系を試行し、脂質二重膜形成後の電位計測チャンバー内の溶液に添加する方針を取る。
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次年度使用額が生じた理由 |
2023年度内に設備備品として購入を予定していた膜電位計測用の小型増幅器は円安の影響で当初計上した価格では入手困難となり、改めて要求仕様と購入価格の面から適した別製品を見つけたため、2024年度に購入する予定である。また、脂質膜形成および膜タンパク質再構成実験の頻度が増すことが想定されるため、関連試薬・器具等の購入が多くなることが予想される。さらに、2023年度は研究進捗が当初の計画よりも遅れたことから学会発表等には至らなかったため、改めて2024年に11月に行われる国内学会と2025年1月に開催される国際学会への出席を予定し、旅費の執行を行う計画である。
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