研究課題/領域番号 |
23K04613
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研究機関 | 大阪大学 |
研究代表者 |
西村 隆宏 大阪大学, 大学院工学研究科, 助教 (10722829)
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研究期間 (年度) |
2023-04-01 – 2026-03-31
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キーワード | レーザー治療 / 生体組織光学 |
研究実績の概要 |
本研究は,正常組織への損傷がない非侵襲治療モダリティの創出に向けて,レーザー治療作用を細胞スケールにて制御する光照射手法を実現することを目標に実施ている.レーザー治療は低侵襲治療として普及しているが,施術時に組織内光分布が十分に考慮されていないため,治療効果の再現性や病変組織周辺への副作用が問題とされる.組織内の局所領域への光照射には,散乱の影響を相殺する光波制御に基づく散乱フォーカシングが有効である.本研究では,臨床応用を見据えて,ファイバー光学系による波面制御に基づいた非接触な全光型散乱フォーカシングの確立を目的とする. 今年度は,非接触な計測による散乱フォーカシングの実現に向けて,光信号による標的部位への集光度のモニタリング手法を検討した.また原理実証に向けた光学系の設計を行なった.波長532nmのナノ秒レーザー光源と光変調器からなる波面制御の光学系とそれの制御を行うソフトウェアを構築した.また,波面設計のアルゴリズムについても検討した.実証実験に向けて,生体組織を想定して吸収係数,散乱係数を調整したメラノソームを含む光学ファントムを作成した.波面変調なしでレーザー光照射した際のフルエンスとメラノソーム破壊深さの評価を行い,対象深さに必要となるフルエンスについて評価した.この評価結果をもとに,散乱体集光技術によるレーザー治療における照射フルエンスが低減に向けた評価の基盤を構築した,
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
3: やや遅れている
理由
当初リアルタイム照射に向けた波面設計アルゴリズムの実装を予定していたが、対象の組織の光学特性のばらつきなどの要因により、光信号からの波面設計手法の高速化が未完了であるため、やや遅れていると考えている。
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今後の研究の推進方策 |
波面設計手法を確立するとともに,ファイバーバンドル光学系による実装を行い,ロボットアーム搭載による任意面での非侵襲治療に向けた原理実証に取り組む.
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次年度使用額が生じた理由 |
2023年度は、光学系の改善のための設計に遅れが生じたため、組織照射実験に使用する 予定であった光学部品の購入を見送ったことから、物品費の使用残額が発生した。 2023年度に発生した使用残額は、2024年度の組織照射実験に使用する消耗品を購入し、 物品費として使用する計画である。
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