• 研究課題をさがす
  • 研究者をさがす
  • KAKENの使い方
  1. 課題ページに戻る

2023 年度 実施状況報告書

核燃料物質に特化した機械学習分子動力学法の開発

研究課題

研究課題/領域番号 23K04637
研究機関国立研究開発法人日本原子力研究開発機構

研究代表者

中村 博樹  国立研究開発法人日本原子力研究開発機構, システム計算科学センター, 研究主幹 (40350483)

研究期間 (年度) 2023-04-01 – 2028-03-31
キーワード二酸化アクチニド / 第一原理計算 / 機械学習分子動力学
研究実績の概要

本研究課題の目標は核燃料物質の熱物性を機械学習分子動力学を用いて評価することである。この目標を見据えて、本年度は以下の研究を行った。
1.非磁性である二酸化プルトニウムに対して、第一原理計算である密度汎関数法(DFT)で基底状態の磁性を正しく再現できるかどうかを確認するため、ACFDT法を用いたエネルギー評価を行った。ACFDT法では通常のDFTに比べて、高次の相関・交換エネルギーの効果を含んでおり、より信頼性の高いエネルギー評価が可能であると考えられる。結果として、DFTでは磁性状態のエネルギーが低くなるのに対して、ACFDTを用いると非磁性のほうがエネルギーが低くなり、非磁性の基底状態を再現した。この成果は国際会議ICONE31で発表する予定である。
2.機械学習分子動力学における物性値評価の信頼性を確認するために、フッ化カルシウムに対して機械学習分子動力学を適用して、高温での中性子非弾性散乱実験の結果を再現できるかどうかを確認した。フッ化カルシウムの機械学習ポテンシャルはすでに作成してあり、比熱や熱膨張などの高温物性を再現することに成功していた。今回の中性子散乱の評価の結果、当手法は十分に精度良く実験結果を再現することがわかった。さらにBredig転移と呼ばれる高温での比熱の増加とフォノンの特定のモードのソフト化が密接に換気慶していることがわかった。今回得た知見は二酸化アクチニドへの応用も可能であると考えられる。この成果は原子力学会で発表した。

現在までの達成度 (区分)
現在までの達成度 (区分)

2: おおむね順調に進展している

理由

機械学習分子動力学のための学習データの構築に用いる具体的な第一原理計算手法が確定し、学習データの構築を開始できる段階になり、順調に進展していると言える。また、フッ化カルシウムを用いた機械学習分子動力学による物性評価にも成功しており、今後の二酸化アクチニドへの応用につながるものと期待できる。

今後の研究の推進方策

まずは、二酸化プルトニウムに対して、第一原理計算で学習データを作成し、機械学習分子動力学ポテンシャルの構築に取り組む。同時に、磁性を考慮した機械学習分子動力学ポテンシャルを試験的に作成し、その性能について評価する予定である。

次年度使用額が生じた理由

外国出張旅費とワークステーションの価格が予定よりも高くなってしまったため、今年度のワークステーション購入は断念し、次年度使用額が生じた。ワークステーションの購入は、仕様を再検討し次年度以降に行うものとする。

  • 研究成果

    (6件)

すべて 2024 2023

すべて 雑誌論文 (3件) (うち査読あり 3件、 オープンアクセス 1件) 学会発表 (3件) (うち招待講演 1件)

  • [雑誌論文] Uranium-plutonium-americium cation interdiffusion in polycrystalline (U,Pu,Am)O2±x mixed oxides2024

    • 著者名/発表者名
      Vauchy Romain、Matsumoto Taku、Hirooka Shun、Uno Hiroki、Tamura Testuya、Arima Tatsumi、Inagaki Yaohiro、Idemitsu Kazuya、Nakamura Hiroki、Machida Masahiko、Murakami Tatsutoshi、Kato Masato
    • 雑誌名

      Journal of Nuclear Materials

      巻: 588 ページ: 154786(13p)

    • DOI

      10.1016/j.jnucmat.2023.154786

    • 査読あり
  • [雑誌論文] Machine learning molecular dynamics reveals the structural origin of the first sharp diffraction peak in high-density silica glasses2023

    • 著者名/発表者名
      Kobayashi Keita、Okumura Masahiko、Nakamura Hiroki、Itakura Mitsuhiro、Machida Masahiko、Urata Shingo、Suzuya Kentaro
    • 雑誌名

      Scientific Reports

      巻: 13 ページ: 18721 (12p)

    • DOI

      10.1038/s41598-023-44732-0

    • 査読あり / オープンアクセス
  • [雑誌論文] A science‐based mixed oxide property model for developing advanced oxide nuclear fuels2023

    • 著者名/発表者名
      Kato Masato、Oki Takumi、Watanabe Masashi、Hirooka Shun、Vauchy Romain、Ozawa Takayuki、Uwaba Tomoyuki、Ikusawa Yoshihisa、Nakamura Hiroki、Machida Masahiko
    • 雑誌名

      Journal of the American Ceramic Society

      巻: 107 ページ: 2998~3011

    • DOI

      10.1111/jace.19609

    • 査読あり
  • [学会発表] 機械学習分子動力学による(Ca,Sr)F2の中性子非弾性散乱の評価2024

    • 著者名/発表者名
      中村 博樹, 町田 昌彦, 渡部 雅, 加藤 正人
    • 学会等名
      日本原子力学会2024年春の年会
  • [学会発表] 核燃料物性評価のためのミクロシミュレーション2023

    • 著者名/発表者名
      中村博樹
    • 学会等名
      日本原子力学会核燃料部会第33回「核燃料・夏期セミナー」
    • 招待講演
  • [学会発表] CaF2のブレディック転移と物性変化,2; 機械学習分子動力学による解析2023

    • 著者名/発表者名
      中村 博樹, 町田 昌彦, 渡部 雅, 加藤 正人
    • 学会等名
      日本原子力学会2023年秋の大会

URL: 

公開日: 2024-12-25  

サービス概要 検索マニュアル よくある質問 お知らせ 利用規程 科研費による研究の帰属

Powered by NII kakenhi