研究課題/領域番号 |
23K04647
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研究機関 | 東京大学 |
研究代表者 |
Liang Yunfeng 東京大学, 大学院工学系研究科(工学部), 特任研究員 (70565522)
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研究分担者 |
辻 健 東京大学, 大学院工学系研究科(工学部), 教授 (60455491)
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研究期間 (年度) |
2023-04-01 – 2026-03-31
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キーワード | 二酸化炭素原油増進回収法 (CO2-EOR) / デジタルオイル / 最小ミシビリティ圧力 (MMP) / アスファテン沈殿リスク / 分子動力学 |
研究実績の概要 |
国内油田用に開発したデジタルオイルモデルを用いて、分子動力学シミュレーションによりアスファルテンの溶解度パラメータを計算した。溶媒中のアスファルテンのハンセン溶解度パラメータ(HSPs)を計算する新しい方法を提案し、実装した。この方法では、プローブとして小さな溶媒分子を用いる。異なる凝集状態と溶媒中で水素結合を形成する可能性を考慮し、全凝集エネルギーから極性と水素結合の寄与を分離することに成功した。得られた溶解度パラメータを利用して、Flory-Huggins熱力学モデルを用いてアスファルテンの溶媒への溶解度を推定したところ、予想通りの結果が得られた。さらに、対象油田のアスファルテンに最適なトルエン-IPA混合溶媒濃度比を見出した。この研究成果は、アメリカ化学会(ACS)の学術誌(Energy Fuels 2023, 37, 14699-14713)に掲載されました。 実験分析に基づき、ストックタンクオイル(STO)のデジタルオイルモデルを確立し、軽質留分はガスクロマトグラフィー(GC)検出、重質留分とアスファルテンは定量的分子表示(QMR)を行った。さらに、フーリエ変換イオンサイクロトロン共鳴質量分析計(FT-ICR-MS)から得られたレジン分子を加えることにより、重質留分を最適化した。STOの実験密度を2-3%の誤差で再現できることを示す。当研究室で確立した "in solvent "手法により、貯留層温度における幅広い圧力スペクトルにわたるアスファルテン、原油、CO2混合物のHSPsを計算した。HSPsに基づいてアスファルテンの溶解度を計算で評価し、異なる濃度のCO2注入がその安定性に及ぼす影響を分析した。その結果、生産プロセスにおけるアスファルテンの析出に関する潜在的な危険性が明らかになり、安全な操業に資する最適な操業条件を確立するための知見が得られた。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
1: 当初の計画以上に進展している
理由
当研究室が確立したアスファルテンハンセン溶解度パラメータ(HSPs)を計算する"in solvent "手法は、このアプリケーションで成功した。
フーリエ変換イオンサイクロトロン共鳴質量分析計(FT-ICR-MS)で得られたレジン分子を加えることで、デジタルオイルを改良することができる。
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今後の研究の推進方策 |
本研究課題の今後の推進方策では,次の3つの研究トピックを実施する。 (1) CO2-EORはカーボンニュートラル実現のための重要な技術であり、その設計には最小混和圧力(MMP)を適切に予測することが必要である。実際的な石油工学では、CO2と原油の混和性を得ることが望ましいとされており、ミクロ的な置換効率を100%に向上させ、油の回収率を最大化させることができる。本研究では、原油組成から作成したデジタルオイルモデルを用いて、MMPを予測する計算手法を確立する。また、MMPが近い高圧下で原油の膨潤係数が低下する現象についても検討する。この研究は順調に進んでおり、計算上の詳細(CO2とオイルの体積比の影響など)に取り組む予定である。 (2) 分子動力学シミュレーションによるハンセン溶解度パラメータを用いたCO2-EORプロセスにおけるアスファルテン析出リスクの予測」に関する研究は、異なるCO2濃度についてさらに進められ、ジャーナル論文として準備される予定である。 (3) 国内石油会社の諸油層における原油のデジタルオイルモデルを開発する。油の密度や粘度などの物性計算では、デジタルオイルモデルを用いて、多くの成果が得られている。しかし、EORの需要は油田によって異なることが予想される。そのため、他の需要油田を想定したデジタルオイルモデルを構築する。
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次年度使用額が生じた理由 |
交付申請書に計上していた旅費(国際学会参加)が予定より安く抑えられたため次年度使用額が生じた。 2024年11月に開催される国際シンポジウム「Application of Nanogeosciences into Petroleum Engineering and Energy Transition」の参加旅費として活用する。
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