研究実績の概要 |
当初の研究計画に従って、光化学系IIモデルとして太陽エネルギーを利用し、水の酸化触媒として鉄(II)錯体を用いて、水によりプラストキノン類縁体であるキノン類を還元してヒドロキノンを得た。また、光学系Iモデルとして太陽エネルギーを利用し、9-メシチル-10-メチルアクリジニウムイオンを分子光触媒、コバロキシム錯体をNAD(P)還元触媒として用いて、ヒドロキノンを電子、プロトン源として、位置選択的にNAD(P)Hを得た。さらに光化学系IIモデル(PSII)と光化学系Iモデル(PSI)を液膜で融合し、キノン/ヒドロキノンを触媒サイクルとして回すことにより、光合成と同じく太陽エネルギーを利用し、水を電子、プロトン源としてNADPを位置選択的に還元してNADPHを生成することに初めて成功した。これは光合成の量論(水を電子、プロトン源とするNAD(P)Hの生成)を初めて実現した例となる。この研究成果はJ. Am. Chem. Soc.に報告した; Young Hyun Hong, Madhuri Nilajakar, Yong-Min Lee, Wonwoo Nam,* and Shunichi Fukuzumi, Artificial Photosynthesis for Regioselective Reduction of NAD(P)+ to NAD(P)H Using Water as an Electron and Proton Source, J. Am. Chem. Soc. 2024, 146, 5152-5161.
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
1: 当初の計画以上に進展している
理由
当初の計画通り、光化学系IIモデル(PSII)と光化学系Iモデル(PSI)を液膜で融合し、キノン/ヒドロキノンを触媒サイクルとして回すことにより、光合成と同じく太陽エネルギーを利用し、水を電子、プロトン源としてNADPを位置選択的に還元してNADPHを生成することに初めて成功し、その研究成果をJ. Am. Chem. Soc.に出版できた; Young Hyun Hong, Madhuri Nilajakar, Yong-Min Lee, Wonwoo Nam,* and Shunichi Fukuzumi, Artificial Photosynthesis for Regioselective Reduction of NAD(P)+ to NAD(P)H Using Water as an Electron and Proton Source, J. Am. Chem. Soc. 2024, 146, 5152-5161. このように当初の計画より早く光合成の量論(水を電子、プロトン源とするNAD(P)Hの生成)を実現できた。
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