研究課題/領域番号 |
23K04698
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研究機関 | 津山工業高等専門学校 |
研究代表者 |
守友 博紀 津山工業高等専門学校, 総合理工学科, 准教授 (30803548)
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研究分担者 |
鈴木 康孝 山口大学, 大学院創成科学研究科, 准教授 (30634753)
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研究期間 (年度) |
2023-04-01 – 2026-03-31
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キーワード | 多光子イメージング / 三光子励起 / 希土類金属錯体 / 赤外発光 / ナノエマルション |
研究実績の概要 |
本研究では、多光子イメージングの深部観察範囲を高深度化させるため、高効率に三光子励起赤外発光を示す希土類金属錯体を、ナノ油滴(エマルション)へ高密度に充填させた新しいタイプのプローブを開発することを目指す。有機化合物であればナノエマルションへ包含させるための指針は、種々の先行研究により明らかになっている。その指針に基づき研究をスタートさせたところ、早々に「エマルションの合成過程で、界面活性剤と錯体との間で配位子交換反応が生じ、錯体の機能が損なわれてしまう」という問題に直面した。そこで2023年度は、希土類金属錯体の発光特性を損なうことなくエマルションに封入するための錯体設計指針の導出や、エマルションの合成条件の導出に主に注力してきた。 まず、配位子の構造の異なる種々のEu錯体を設計・合成し、エマルションへの合成を試みた。その際、調整温度や、用いる界面活性剤の種類について系統立てて検討し、Eu錯体の発光特性を損なうことなく包含できる条件を探索した。その結果、錯体の配位子は二座以上にすること、合成に用いる界面活性剤に含まれるカルボニル基は2つ以上とならないようにすること、という条件が明らかになった。このように、希土類金属錯体をエマルションに包含する際は、有機物を包含する場合とは違うノウハウが必要ということを見出した。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
エマルションに希土類金属錯体を安定して包含するノウハウを会得できたため、後はいかにして錯体の三光子励起発光効率を高めていくか、が鍵になる。これまで様々な多光子イメージング用プローブを開発してきた応募者であれば、十分に達成可能だと手応えを感じている。
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今後の研究の推進方策 |
現在、三光子吸収効率に優れ、かつエマルションに安定に包含できる希土類金属錯体を新規に設計し、合成中である。合成が完了次第、エマルションに包含し、三光子励起発光特性の評価、および生体イメージングへの試用に取り掛かる予定である。
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次年度使用額が生じた理由 |
2024年度は2023年度と比べて研究室学生が増員し、引き続き有機合成実験に集中して取り組む予定であるため、その試薬代などを確保するため。
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