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2023 年度 実施状況報告書

軟X線吸収分光法による水分解光触媒の固液界面における化学反応のリアルタイム観察

研究課題

研究課題/領域番号 23K04700
研究機関大学共同利用機関法人高エネルギー加速器研究機構

研究代表者

阪田 薫穂  大学共同利用機関法人高エネルギー加速器研究機構, 物質構造科学研究所, 特任准教授 (80514215)

研究分担者 雨宮 健太  大学共同利用機関法人高エネルギー加速器研究機構, 物質構造科学研究所, 教授 (80313196)
研究期間 (年度) 2023-04-01 – 2026-03-31
キーワード軟X線吸収分光 / オペランド測定 / リアルタイム測定 / 電気化学 / 水分解用電極触媒 / 固液界面
研究実績の概要

本研究では、蛍光収量波長分散型軟X線吸収分光法を用いて、水分解用電極触媒の酸素発生電極の固液界面における化学反応のリアルタイム観察を行っている。
半導体光触媒であるアナターゼ型TiO2をモデルとして、溶液の界面近傍における酸素や、Tiの吸収スペクトルを、触媒の動作中に秒オーダーの時間分解能で連続測定(リアルタイム測定)を行った。本研究を通して、半導体光触媒表面の原子レベルでの形状と触媒活性の相関についての知見を得ることを目指している。
測定には、自作の電気化学反応中の触媒反応を光照射下で観察できるセルを使用した。セル部分には、対極のPt、および参照極Ag/AgClを組み込み、電解質溶液や紫外光等を導入できるようにしている。さらに、試料セルに設置しているX線導入用の薄膜SiN窓材の上に、光触媒電極を直接積層して作用電極とし、溶液と触媒の界面近傍の蛍光X線を観察できるような構造とした。
電位掃引中および光照射on/off時のTiO2の酸素発生反応について、O K吸収端やTi L 吸収端の測定を行った。その結果、TiO2を電極に担持した場合は、電位掃引や光照射の有無で、O K吸収端のピークに変化が確認できた。特に、533.8 eV付近に確認できたピークは、固液界面の反応中間体に起因するピークである可能性がある。今後は、さらに時間分解能を上げた測定や、多元系の酸素発生電極触媒に対して測定を行い、酸素発生のカイネティクスや、触媒表面の化学状態と触媒活性の相関について解析を行う予定である。

現在までの達成度 (区分)
現在までの達成度 (区分)

2: おおむね順調に進展している

理由

本年度は、酸素発生触媒のモデルとしてアナターゼ型TiO2に着目し、波長分散型X線吸収分光を用いて測定が行えるように薄膜電極を作成した。X線吸収分光の測定中に、電位を掃引しながら、UV光の照射の有無でのTiO2の酸素K吸収端のリアルタイムオペランド測定を行うことができた。その内容を纏めて論文誌への投稿も行った。

今後の研究の推進方策

今後は、さらに時間分解能を上げた測定を目指して装置の改造を行う。
また、酸素発生触媒であるCo, Ni, Cu, Fe, Ru, Ir等を含む多元系の金属酸化物や助触媒を担持したTiO2やSrTiO3に対して測定を行い、酸素発生のカイネティクスや、触媒表面の化学状態と触媒活性の相関について解析を行う予定である。また、電極表面近傍に吸着した中間体や発生した酸素を観察することを目指す。また、触媒活性は中間体の-OH種や-O種の表面との結合の強さと関連しているとの報告があるので、触媒表面側の価数や表面の中間体の安定性に対して、金属酸化物の元素種がどのように影響するか、電極電位との相関について系統的に解析を行っていく予定である。

次年度使用額が生じた理由

装置改造を2024年度に行うことにしたため、そのために確保していた分を繰り越しすることにいたしました。

  • 研究成果

    (4件)

すべて 2023 その他

すべて 国際共同研究 (1件) 雑誌論文 (1件) 学会発表 (2件) (うち国際学会 1件、 招待講演 2件)

  • [国際共同研究] Czech Academy of Sciences(チェコ)

    • 国名
      チェコ
    • 外国機関名
      Czech Academy of Sciences
  • [雑誌論文] Real-time observation of intermediate species in electrochemical oxygen evolution reactions on CoOx through soft X-ray absorption spectroscopy2023

    • 著者名/発表者名
      Sakata Kaoruho、Amemiya Kenta
    • 雑誌名

      Electrochemistry Communications

      巻: 157 ページ: 107627~107627

    • DOI

      10.1016/j.elecom.2023.107627

  • [学会発表] Real time observation of chemical reactions at surface and solid liquid interface by wavelength dispersive soft X ray absorption spectroscopy2023

    • 著者名/発表者名
      K. Sakata K. Amemiya
    • 学会等名
      Annual Meeting of the Japan Society of Vacuum and Surface Science 2023
    • 国際学会 / 招待講演
  • [学会発表] 放射光軟X 線を用いた酸素発生電極触媒の固液界面のリアルタイムオペランド観察2023

    • 著者名/発表者名
      阪田薫穂,雨宮健太
    • 学会等名
      表面技術協会 第149 回講演大会
    • 招待講演

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公開日: 2024-12-25  

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