現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
N2Oはオゾン層を破壊する温室効果ガスであり、約100年の長い寿命を示す。特に、その地球温暖化係数はCO2の約300倍である。世界中の国や国際機関が適切な緩和方法を導入しない場合、N2O排出量は2050年までに約2倍になると推定されている。N2Oの排出起源は主にエネルギー産業(燃焼プラントや化学プラント)・農用地・自然界であり、エネルギー産業の燃焼炉からの排出は局所的で高濃度である。これらの問題を解決するために、N2OをN2とO2に分解する触媒は、排出削減のための経済的な技術の一つである。これまで、N2O分解のための担持金属酸化物、貴金属、金属酸化物または複合酸化物触媒が研究されてきた2)。担持触媒に関しては、N2O 分解に対する活性は Ru, Rh, Ir > Pd > Cu > Fe > Pt > Ni > Mn の序列であることが報告されている2)。そのため、Ru種はN2O分解の有望な触媒になる可能性がある。現在までAl2O3, CeO2, TiO2, Nb2O5, ZrO2, Ta2O5, WO3 およびSnO2などの様々な金属酸化物をRu触媒の担体材料とした。担持Ru (5.0wt%)触媒はRuCl3の水溶液を含浸、乾燥後、空気中600 °Cで3時間焼成することによって調製した。担持Ru触媒は粉末X線回折(PXRD)、蛍光X線(XRF)、H2による昇温還元法 (H2-TPR)、Brunauer-Emmett-Teller(BET)表面積測定、NH3ならびにNOによる昇温脱離法(NH3-, NO-TPD)、CO pulse化学吸着法およびフーリエ変換赤外(in-situ FT-IR)分光法で評価した。N2Oの触媒分解は大気圧の流通反応装置を用いて昇温法で評価した。
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