研究実績の概要 |
本研究では、C2対称キラルユニットとキラル有機分子触媒ユニットのカップリング重合により、C2キラル高分子と有機分子触媒が協奏的に作用し、高い触媒性能を発現する有機分子触媒組込型C2キラル高分子を合成することを目的とする。次に、この高分子キラル触媒をバッチ式不斉反応に応用し、高次構造、分子量、重合方法、C2キラル高分子の立体配置・置換基が不斉反応における反応性、立体選択性や高分子触媒の回収・再使用性に与える影響について調べる。ここで得られた知見を元に、フロー式連続反応に適した高分子キラル触媒を開発し、実用的な光学活性化合物のフロー式連続合成システムを構築する。 まず、C2対称キラルユニットとして、ジヨードまたはジブロモ基を有する1,1’-ビ-2-ナフトール誘導体、1,1’-ビ-2-フェノール誘導体およびスピロビフルオレン誘導体を合成した。次に、チロシンを出発原料として、ジエチニル基を有するキラルイミダゾリジノン誘導体を合成した。ジハロゲノ基を有するC2対称キラルユニットとジエチニル基を有するキラルイミダゾリジノン誘導体の薗頭-萩原カップリング重合を行ったところ、重合は円滑に進行し、数平均分子量が5,000以上のキラルポリマーを得ることに成功した。また、ジエチニル基を有する1,1’-ビ-2-ナフトール誘導体およびスピロビフルオレン誘導体とジヨード基を有するシンコナアルカロイド誘導体の溝呂木-Heckカップリング重合を行い、シンコナアルカロイド部位およびC2対称キラルユニットを高分子主鎖に含むキラルポリマーの合成に成功した。
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