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2023 年度 実施状況報告書

凝集誘起発光を利用した高分子と薬剤の相溶性解析と高分子ミセル分子設計への応用

研究課題

研究課題/領域番号 23K04854
研究機関山梨大学

研究代表者

小幡 誠  山梨大学, 大学院総合研究部, 教授 (70343267)

研究期間 (年度) 2023-04-01 – 2026-03-31
キーワード高分子ミセル / 凝集誘起発光 / ドラッグデリバリーシステム
研究実績の概要

高分子ミセルを基盤とするドラッグデリバリーシステムの開発には薬剤を保持するコアセグメントと薬剤の相溶性の理解が不可欠である。しかし薬剤-高分子間の相溶性の解析はバルク状態においても簡単ではない。バルク状態における相溶性解析は熱分析による手法が標準的であるが、そもそもあまり感度が高くないためバルク状態でも困難であることが多く、多量の溶媒を含む高分子ミセルへの適用はほぼ不可能である。そこで本研究では凝集誘起発光(AIE)を利用して薬剤の高分子ミセルへの内包に伴う可塑効果を光学的に検出することにより、高分子ミセル状態での薬剤-高分子間の新たな相溶性解析手法の開発を試みている。
本年度は疎水性鎖末端にAIE色素であるテトラフェニルエチレン(TPE)を連結した両親媒性ブロックコポリマーの合成と、その高分子ミセルを作製した。疎水性鎖としてはガラス転移温度に着目して、疎水性鎖としてポリスチレン、ポリメタクリル酸メチル、ポリメタクリル酸ブチル、ポリアクリル酸エチルを選定した。また薬剤モデルとしてフタル酸エステル類を用い、作製した高分子ミセルへの添加によるAIE強度の変化を検出することに成功した。なお高分子ミセルの非平衡性により、薬剤添加の方法によってAIE強度変化の様子が変わるという問題が生じたが、種々の実験条件を検討して、再現性が高く効率の良い標準的な実験手法を確立した。得られた実験結果からAIE強度変化を特徴付けるパラメーターである飽和低減率と飽和量を求めた。本手法で得られた飽和量が従来の手法で定量される内包量とほぼ同じオーダーであることを確認した。また飽和低減率は疎水性鎖および内包するフタル酸エステル類の種類によって特徴的に変化することを確認した。

現在までの達成度 (区分)
現在までの達成度 (区分)

2: おおむね順調に進展している

理由

TPEを連結した両親媒性ブロックコポリマーを安定に合成できるようになっている。またAIE強度変化を検出する標準的な実験手法も確立した。これにより実験者間での実験データの齟齬もなくなり安定にデータが取れる状況になっている。

今後の研究の推進方策

これまでは疎水性鎖のガラス転移温度に着目して合成するブロックコポリマーを設計していたが、これからは化学構造に着目して設計を行い、AIE強度変化から得られるパラメーター(飽和低減率と飽和量)の化学的な意味付けを検討する。そのために重合度が一定の均一なライブラリ構築が可能な重合後修飾技術を利用したTPE連結ブロックコポリマーの合成を進める。

  • 研究成果

    (2件)

すべて 2023 その他

すべて 学会発表 (1件) 備考 (1件)

  • [学会発表] AIEを利用した高分子ミセルへの低分子内包挙動の解析の試み2023

    • 著者名/発表者名
      木部泰希、小幡誠
    • 学会等名
      第72回高分子討論会
  • [備考] 高分子合成化学研究室

    • URL

      http://www.ccn.yamanashi.ac.jp/~mobata/index.html

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公開日: 2024-12-25  

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