研究実績の概要 |
2023年度は,本研究でのフッ化物を水溶性自己犠牲鋳型する中空水酸化物粒子合成概念の実証のために,(1)単一の遷移金属を有するフッ化物からの中空粒子の合成を行い,また,次年度以降に複数の金属を有する水酸化物での中空粒子を合成するために,(2)複数の金属を有するフッ化物の合成の2つの方針で研究を行った。下記にそれぞれの実績概要を示す。 (1)単一の遷移金属を有するフッ化物(遷移金属はCo, Ni,Fe)を有機溶媒中に分散させ,アルカリ金属水酸化物水溶液を添加して反応させた。得られた試料のTEM像を観察すると,粒子表面に別の物質が存在するコアシェル型の構造となっていることが分かった。さらに,未反応のフッ化物を除去するために,反応後の物質を水で処理した。得られた試料のTEM像では,中空粒子となっていることが分かり,本研究の合成概念が実証された。Ni, Co, Feの順でフッ化物粒子の大きさが大きくなっており,それと同様に中空水酸化物粒子の大きさもその順となっている。Feの時には,フッ化物自身の大きさが大きく,数百nmの大きさになっており,粒子の大きさの制御が求められる。 (2)複数の金属を有するフッ化物は,ソルボサーマル合成でフッ化物粒子を合成する際に導入する遷移金属種を単純に増やすことによって達成することができた。粒子の大きさは,単一の遷移金属合成した際の間のサイズを有していた。STEMマッピングで元素の分布をみると均一になっており,複数の遷移金属を有する中空水酸化物粒子を合成するために理想的なフッ化物を合成できたと言える。
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