研究課題/領域番号 |
23K04923
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研究機関 | 国立研究開発法人産業技術総合研究所 |
研究代表者 |
尾西 尚弥 国立研究開発法人産業技術総合研究所, エネルギー・環境領域, 主任研究員 (50768223)
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研究期間 (年度) |
2023-04-01 – 2026-03-31
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キーワード | CO2 / メタノール / 水素 / 触媒 |
研究実績の概要 |
二酸化炭素(CO2)の大気中への大量放出は、深刻な気候変動につながるため、人類にとって大きな脅威のひとつである。大気中の二酸化炭素濃度の上昇による悪影響を軽減するために、二酸化炭素を廃棄物として処理するのではなく、再利用することが検討されている。有効な方法としては、CO2からメタノールへの触媒水素化反応(CO2 + 3H2 → CH3OH + H2O)であり、再生可能エネルギー源から生成されたグリーン水素を使用する必要がある。メタノールは、ジメチルエーテル、ガソリン、ディーゼルなどの他の燃料に変換することできるため、魅力的な化合物である。メタノールは、既存の化学プロセスを通じて、オレフィン、ホルムアルデヒド、酢酸などの重要な基礎化学品に変換することもできる。水素(H2)と比較して、メタノールは体積エネルギー密度が高く、運転上の安全性が高く、現在のインフラとの互換性が高いため、断続的な再生可能エネルギーのキャリアおよび貯蔵媒体として有利である。 メタノールは、CO2 を含む合成ガス(CO/CO2/H2)から、Cu系触媒を用いて、高圧(50~100気圧)・高温(200~300℃)条件下で商業的に製造されている。このプロセスでは、Cu/ZnO/Al2O3は、合成ガスからのメタノール製造に高度に最適化されているが、この触媒は、競合するrWGS反応(7) (CO2 + H2 → CO + H2O)と水による失活のために、CO2とH2をメタノールに変換する活性が不十分である。これらの課題を克服するために、新たな触媒の開発が求められている。 申請者はこれまでに開発したCO2/H2からのメタノール合成に活性を示すIr触媒の改良を実施した。配位子上に電子供与性基を導入することである程度活性が向上することを見出した。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
3: やや遅れている
理由
今年度は、既存触媒の改良を進めることで、ある程度触媒活性の向上を見出すことができた。しかしながら、触媒の耐久性についてはあまり改善が見られなかった。
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今後の研究の推進方策 |
Ir触媒に結合している配位子の構造から、触媒の活性や耐久性に関する知見を今年度得られることができたため、次年度はそれら知見をもとに高性能な触媒を開発する。
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次年度使用額が生じた理由 |
開発したイリジウム触媒の評価に用いる重量を減らして検討したため、試薬購入費が抑えられた。また、予定した外注分析も所属元でできることが判明したため、抑えられた。 次年度はスケールアップして触媒評価をする予定のため、多くのイリジウム使用が見込まれる。よって、試薬購入に繰り越し分を利用する。
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