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2023 年度 実施状況報告書

培地循環in cell NMRによる生細胞内aSynの線維化・伝播機構の解明

研究課題

研究課題/領域番号 23K04937
研究機関国立研究開発法人理化学研究所

研究代表者

栃尾 尚哉  国立研究開発法人理化学研究所, 生命機能科学研究センター, 研究員 (70466035)

研究期間 (年度) 2023-04-01 – 2026-03-31
キーワードTandemly connected NMR / In cell NMR / シヌクレイン / パーキンソン病
研究実績の概要

本研究では、パーキンソン病(PD)の発症・伝播のモデルとして、PDの病態のひとつであるαシヌクリン(aSyn)の線維化に着目し、試験管内で調製したaSyn線維(preformed
fibril, PFF)を細胞に暴露することで引き起こされる内在aSyn線維化の経時的・定量的変化の観測と、線維化したaSynを含んだ細胞の分泌物の観測を、培地循環in cell NMR法を用いて行う。PFF添加後の内在aSynについて、いつ線維化が始まり、どのように線維化が成長し、他の細胞にどのように線維化を伝播するのかを、内在aSynの構造変遷に沿って明らかにすることを目的としている。
培地循環in cell NMR法では、生細胞をアルギン酸ゲルに包埋したものをNMR試料管にいれ、そこに新鮮な培地を常時供給しながら観測を行う。この培地循環ラインを2台目のNMR装置の試料管につなぐことで、1台目で観測される細胞が分泌する物質を2台目の装置にて経時的・定量的に観測できると考え、本研究の基盤技術とした(Tandemly connected NMR)。
本手法の確立ならびに有効性を示すべく、過酸化水素の曝露による細胞内および分泌された乳酸量の変化を繰り返し観測し、過酸化水素の曝露によって生じる細胞内および分泌された乳酸量の経時的な変化の違いを捉えることに成功した。本研究結果は2023年度の日本分子生物学会年会にて発表を行った。さらに、乳酸の代謝を抑制する薬剤(α-シアノ-4-ヒドロキシけい皮酸)の添加による乳酸量の変化についても観測を開始した。

現在までの達成度 (区分)
現在までの達成度 (区分)

3: やや遅れている

理由

本研究の基盤技術であるTandemly connected NMR法に関して、より高い精度を得るため、サンプルの調製法に改良を加えた。特に細胞のゲル包埋手法において、アルギン酸との混合法の調整を行い、NMR試料管内でのゲルの嵩高さを一定に保つことで定量性の向上を得ることが確認できた。また、測定後の細胞回収方法にも改良を加え、2023年度に購入した血液ガス分析装置を用いた培地成分の計測を適宜行いながら回収効率の向上を確認した。
しかしながら、所属研究機関における研究室移動を含んだ改組のため、実際の研究時間が予定していたものよりも少なかったため、aSynを用いた実験を進めることができなかった。

今後の研究の推進方策

本研究の基盤技術であるTandemly connected NMRの有効性を示した研究成果を早急に学術誌上にて発表する。また、2023年度に実施できなかったaSynを用いた実験を順次進めていく。
本研究を進めるうえで重要なサンプルである各種安定同位体標識aSynの原材料となる安定同位体化合物が、申請時には予想できなかったほど高騰しており、そのため、特に、今後の研究に不可欠且つ大量に必要となるPFFのより高効率な調製法の検討が必要と考えられる。現時点では、核酸分解酵素とCibacron Blue F3G-A Sepharoseカラムを用いた積極的な除核酸をタンパク質調製初期に追加することで回収効率の向上を検討している。PFFのより高効率な調製法の確立も並行して行っていく予定である。

次年度使用額が生じた理由

所属研究機関における研究室移動を含んだ改組のため、実際の研究時間が予定していたものよりも少なかったため、aSynを用いた実験を進めることができなかった。研究試料の原材料となる安定同位体化合物が高騰しており、追加の購入費用として使用する予定である。

  • 研究成果

    (1件)

すべて 2023

すべて 学会発表 (1件)

  • [学会発表] Tandemly connected NMRによる細胞の酸化ストレス応答の非侵襲・定量観測2023

    • 著者名/発表者名
      栃尾 尚哉,木川 隆則
    • 学会等名
      第46回日本分子生物学会年会

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公開日: 2024-12-25  

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