研究課題/領域番号 |
23K04972
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研究機関 | 国立研究開発法人理化学研究所 |
研究代表者 |
江越 脩祐 国立研究開発法人理化学研究所, 開拓研究本部, 研究員 (60755932)
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研究期間 (年度) |
2023-04-01 – 2026-03-31
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キーワード | ラマンイメージング / 鉄イオン / ラマンセンサー |
研究実績の概要 |
研究初年度は,当研究室のラマン顕微鏡での測定に適した鉄イオン特異的なラマンセンサーの開発に取り組んだ.その結果,ナトリウムイオン,カリウムイオン,マグネシウムイオン,カルシウムイオン,一価銅イオン,二価銅イオン,亜鉛イオン,鉄三価イオンなどの生体内に多く存在する金属イオンではなく,二価鉄イオンを特異的に検出可能なラマンセンサーXを開発することができた.そして,ラマンセンサーXは生体内金属イオンが存在する溶液中でも,二価鉄イオンを選択的に観察できることが明らかになった.続いて,開発したラマンセンサーXに構造が類似した7種の誘導体を合成して比較検討を行った結果,鉄二価イオンへの選択性を維持したままで,シグナル強度が向上したラマンセンサーYを見出すことができた.この改良したラマンセンサーYを用いて生細胞ラマンイメージング実験を行った結果,細胞内でも特異的にそのシグナルを検出することができ,HeLa細胞における細胞内の遊離二価鉄イオンの局在を可視化することに成功した.また,ラマンセンサーYのシグナルは非常に強いため,通常の生細胞ラマンイメージングよりも短い測定時間で可視化することができ,細胞内の遊離二価鉄イオンを経時的に観察することができることが分かった.現在は,ラマンセンサーのさらなる改良,細胞内の遊離二価鉄イオンの動態解析および遊離三価鉄イオン選択的なラマンセンサーの開発に取り組んでいる.
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
初年度の目標通りに,生細胞内の遊離鉄イオンを選択的に観察できるラマンプローブを開発できたため.
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今後の研究の推進方策 |
当初の計画通り,開発したラマンプローブを用いた生細胞解析を続け,細胞内の遊離二価鉄イオンの動態解析法の確立および同手法を生物活性化合物解析への応用展開を目指す.
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次年度使用額が生じた理由 |
今年度は,数多くのラマンセンサーの誘導体を少量で合成して比較検討を行ったが,所属する研究室が事前に所有していた試薬で事足りたため研究予算に余りが生じた.次年度は,選別されたラマンセンサーの大量合成や,生細胞実験を繰り返すため消耗品費が著しく多くなると見積もっている.また,開発したラマンセンサーの有用性を示す実験を行うために,フェロトーシス誘導剤など細胞内の遊離鉄イオンの濃度変化を引き起こすような高価な生物活性化合物を購入する予定である.
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