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2023 年度 実施状況報告書

水田土壌のカリウム肥沃度を長期的に維持するために必要な土壌診断基準の提示

研究課題

研究課題/領域番号 23K04980
研究機関高知大学

研究代表者

森塚 直樹  高知大学, 教育研究部総合科学系生命環境医学部門, 准教授 (10554975)

研究分担者 田中 壮太  高知大学, 教育研究部総合科学系黒潮圏科学部門, 教授 (10304669)
研究期間 (年度) 2023-04-01 – 2026-03-31
キーワードカリウム / 水田土壌 / 飼料イネ / 非交換態 / カリ固定 / ポット試験
研究実績の概要

カリウム(K)は主に茎葉部に保持されているが、飼料イネは圃場から地上部全体が持ち出されるため、K収支が負になりやすい。また熊本県上益城郡御船町では食用米よりも粗放的な施肥管理が行われてきた。我々の先行研究より、飼料イネ連作水田のK肥沃度は食用米連作水田よりも低かった。さらに飼料イネから食用米に作付を戻した後、表層土の交換態Kは回復したにも関わらず、非交換態Kは回復しなかった。そこで本研究では、土壌のK吸着能とK固定能を評価することにより、食用米に転作した後の土壌の交換態Kと非交換態Kの将来予測を試みた。
御船町の同一の生産者が管理する水田から食用米水田4筆と飼料イネ連作後食用米に作付を戻した水田(飼料イネ水田)4筆を選定した。食用米に転作した年は、2018~2022年である。水田あたり4~5箇所を対角線採土法によって選び、計39地点の調査定点を設置した。2014~2023年の5月中旬に表層土(0~15 cm)を採取した。そして、土壌の交換態K、非交換態K、K吸着能、K固定能を測定した。K吸着能とK固定能は、多量のK施肥を想定したK飽和処理を土壌に施した後に、酢酸アンモニウム抽出で抽出された交換態K量をK吸着能、そして酢酸アンモニウム抽出後の0.01および1 mol/L塩酸連続抽出で抽出された非交換態K量をK固定能とした。
2023年に採取した表層土も、先行研究と同様に、交換態Kは回復したが、非交換態Kは回復しなかった。さらに土壌のK吸着能は飼料イネ水田≒食用米水田だったが、0.01および1 mol/L塩酸抽出によるK固定能は飼料イネ水田<食用米水田だった。飼料イネ水田では、土壌のK吸着能は維持されてきたが、K固定能が低下していた。そのため、飼料イネから食用米に転作しても土壌の非交換態K含量が食用米水田と同程度まで回復する見込みはないことが示唆された。

現在までの達成度 (区分)
現在までの達成度 (区分)

3: やや遅れている

理由

定点圃場でのモニタリング調査については、当初の計画以上に進展した。カリウム固定容量を測定することによって、飼料イネ連作を行っていた水田では食用米に作付を戻してもカリウム肥沃度が回復しにくいことが実証できた。
一方、精密施肥試験については、実施が遅れており、2024年4月24日に開始した。また定点圃場から採取した土壌を用いたポット試験については、2024年5月及び9月に供試土壌を採取し、2025年から開始する予定である。
また定点圃場から採取した土壌の鉱物性分析についても実施が遅れており、2024年10月以降にポット試験から採取した試料と合わせて実施する予定である。

今後の研究の推進方策

定点圃場でのモニタリング調査については、飼料イネ水田で土壌のK固定能がなぜ低下していたのかを明らかにするための実験を行う。
精密施肥試験については、定点圃場として用いてきた8圃場のうち、カリウム肥沃度が最も高かった土壌と低かった土壌、さらに調査圃場付近の淡色黒ボク土を用いたポット試験を行う予定であるが、それに先立って、カリウム含有鉱物(黒雲母、白雲母、正長石)を添加したポット試験を2024年に行う。

次年度使用額が生じた理由

ポット試験および鉱物の変性と溶解の検知に関する実験が遅れているため、次年度使用額が発生した。それらの実験は2024年4月と10月にそれぞれ開始する予定である(ポット試験については2024年4月24日に開始した)。

  • 研究成果

    (1件)

すべて 2024

すべて 雑誌論文 (1件)

  • [雑誌論文] 飼料イネの連作が水田土壌肥沃度に及ぼす影響2024

    • 著者名/発表者名
      森塚直樹、松岡かおり
    • 雑誌名

      アグリバイオ

      巻: 8 ページ: 357-361

URL: 

公開日: 2024-12-25  

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