研究課題/領域番号 |
23K05016
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研究機関 | 日本獣医生命科学大学 |
研究代表者 |
木邊 量子 日本獣医生命科学大学, 獣医学部, 准教授 (60574639)
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研究期間 (年度) |
2023-04-01 – 2026-03-31
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キーワード | Porphylomonas gulae / 歯周病菌 / 線毛型別 / イヌ / 人獣共通感染菌 |
研究実績の概要 |
犬口腔内のP. gulaeを分離培養し、fimA遺伝子型別決定およびfim型別のP. gulaeの全身症状、特に炎症病態に関わるメカニズムを検証するために、2023年度は①犬の口腔内からのP. gulaeの分離とFimA型別(培養同定とPCR解析) ②犬血清内抗p.gulae抗体の測定 ③培養細菌株の質量分析解析および炎症反応評価を行う予定となっている。健常犬または僧房弁閉鎖不全症罹患犬の口腔内サンプルおよび血清サンプルの収集をおこなっているが、P.gulaeの培養、FimA型別、および血清中抗P. gulae抗体の測定は随時、今後も引き続きおこなっていく。FimA型別に関しては解析した90%程の犬がP. gulaeを保有していることがわかってきた。また、FimAのタイプAは保有率が高いが、タイプBの保有率には個体差が生じることが示された。 一方で2023度遂行予定のP.gulaeの分離培養がうまくできておらず、進捗をやや遅らせる原因となっている。分離はできるが、P.gulae特有の黒色コロニーを形成するのに時間がかかり、そのため純培養時には菌自体が弱くなっていることが原因となっている。菌株の補充が出来ていないことは、今後の研究を遂行する上での妨げとなるため、嫌気培養法を改善するための簡易チャンバーを導入した。2024年度はFim型別、血清解析に関して中間結論を出すと同時に、新たなサンプル収集をおこなっていく。培養に注力したいため投与実験も予定しているが2024年度の後期を目指し準備をしていく予定である。菌の分離が滞る場合はP. gulaeの標準菌株の導入も考慮しなくてはならないと考えている。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
3: やや遅れている
理由
犬口腔内のP. gulaeを分離培養し、fimA遺伝子型別決定およびfim型別のP. gulaeの全身症状、特に炎症病態に関わるメカニズムを検証するために、2023年度は①犬の口腔内からのP. gulaeの分離とFimA型別(培養同定とPCR解析) ②犬血清内抗p.gulae抗体の測定 ③培養細菌株の質量分析解析および炎症反応評価を行う予定となっている。健常犬または僧房弁閉鎖不全症罹患犬の口腔内サンプルおよび血清サンプルの収集をおこなっているが、P.gulaeの培養、FimA型別、および血清中抗P. gulae抗体の測定は随時おこなっている。現在健常犬、罹患犬それぞれ40サンプル程度が集まっている。今後も引き続き、サンプルの収集をおこなっていく予定である。FimA型別に関しては順調に遂行できており、解析した90%程の犬がP. gulaeを保有していることがわかっている。また、FimAのタイプAに関しても保有率が高く、タイプBの保有率には個体差が生じることが示された。しかしながら、2023年度遂行予定のP.gulaeの分離培養がうまくできておらず、進捗をやや遅らせる原因となっている。分離はできるが、P.gulae特有の黒色コロニー形成するのに時間がかかり、そのため純培養時には菌自体が弱くなっていることから、その後の純培養で増殖が出来ないのがその原因となっている。そのため、嫌気培養をおこなうための簡易チャンバーを導入した。菌株の補充がうまくできていないため、③の質量分析には及んでいない。
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今後の研究の推進方策 |
P.gulaeの分離培養がうまく言っておらず、菌株の補充が出来ていないことは、今後の研究を遂行する上での妨げとなるため、嫌気培養法を改善するために簡易チャンバーを導入し、利用していく予定である。Fim型別、血清解析に関しては現在あるサンプルで中間結論を出すと同時に、新たなサンプル収集をおこなっていく。培養に注力したいため2024年度は20サンプル増を目指す。投与実験も予定しているが2024年度の後期を目指し準備をしていく予定である。菌の分離が滞る場合はP. gulaeの標準菌株の導入も考慮しなくてはならないと考えている。
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次年度使用額が生じた理由 |
2023年度は培養が成功していないことから進捗がやや遅延していることもあるが、研究室にすでにある物品で実験をまかなうことができたのが大きな理由である。2024年度は生体購入などがある上、これまで遅延していた遅れを取り戻すため、計画的に利用する予定である。
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