研究課題/領域番号 |
23K05026
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研究機関 | 広島大学 |
研究代表者 |
湯川 格史 広島大学, 統合生命科学研究科(先), 助教 (50403605)
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研究期間 (年度) |
2023-04-01 – 2026-03-31
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キーワード | 細胞核 / 細胞分裂期 / 染色体分配 / アクチン繊維 / 収縮環 / ミオシンモーター / 分裂酵母 |
研究実績の概要 |
これまでに分裂酵母の分裂期欠損変異体では、細胞中央に配置した未分離の染色体が収縮環によって物理的に破断されることにより、細胞分裂死を引き起こすことが知られていた。しかし申請者らは、これらの変異体において、未分裂の細胞核がアクチン繊維依存的に細胞中央から非対称に移動することにより、分裂死を免れて二倍体として生存し続ける細胞が存在することを見出した。そこで本研究では、このような分裂期における核移動現象の分子機構解明を目指している。本年度は以下の点について焦点を絞って研究を行った。 (1)核移動のタイミングおよび方向性:収縮環形成過程を指標に核移動のタイミングについて詳しく調べたところ、形成期・成熟期・収縮期のいずれの時期においても核移動を開始できることがわかった。また、核移動の方向は核と収縮環の空間的な位置関係に依存し、核は収縮環と反対側に移動する傾向が高いことがわかった。 (2)核移動における収縮環の必要性:分裂期欠損変異(cut7-22)と収縮環を形成できない変異(rng3-65)を組み合わせた二重変異体では核移動頻度が著しく低下した。この二重変異体にCK-666を作用させてアクチンケーブル形成を促進させても収縮環は形成できず、核移動頻度も低下したままであることから、核移動には収縮環形成が必要であることが新たに判明した。 (3)核移動に関与する核側因子の探索: 分裂期欠損変異(cut7-22)と核膜関連因子をコードする遺伝子の欠損を組み合わせた二重変異体を作成し、分裂期の核移動頻度を調べた。その結果、分裂期に核膜が拡張できない遺伝子欠損により、核移動頻度が著しく上昇することを見出した。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
当初の計画通りに進んでおり、期待通りの成果が上がっている。
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今後の研究の推進方策 |
核移動現象を引き起こすトリガーを明らかにするため、アクチン繊維および核膜外膜と繋がっている小胞体膜の分裂期における経時的動態について詳しく観察する。また、核移動と核サイズ制御および核膜拡張との関係について調べる。
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