研究実績の概要 |
α-グルカンは、天然に最も多く存在する単糖であるグルコースがα-(1→X)結合で重合した多糖の総称であり、澱粉やデキストランなどが含まれる。本研究は、α-(1→X)-グルコシド結合特異性の厳密な酵素の基質特異性の構造基盤を得て、これらの酵素を駆使することによってα-グルカンから機能性オリゴ糖を得るための新しい変換技術を提案することを目的とする。本年度は、(1) 乳酸菌Leuconostoc citreumが産生する菌体外多糖・多分岐デキストランの資化に関与する土壌細菌Flavobacterium johnsoniae由来酵素および糖結合タンパク質の構造機能解析、(2) 新規配列を有するデキストラン分解酵素の立体構造解析、(3) その他のα-(1→X)-グルカン分解酵素とそのホモログ酵素の構造解析を行った。(1)に関しては、先行研究で構造解析が行われたデキストラナーゼFjDex31Aとα-1,2-グルコシダーゼFjGH65Aに加えてデキストラナーゼFjGH66とグルコデキストラナーゼFjGH97AについてX線結晶構造解析に成功し、これらの酵素が協同して多分岐デキストランを分解していることを生化学的、分子生物学的に立証した。本研究はJ. Biol. Chem.に論文として発表した。(2)と(3)については新たに複数のα-グルカン分解酵素のX線結晶構造解析に成功した。(3)に関連して、α-グルコシダーゼが主に分類される糖質加水分解酵素ファミリー31から新規な細菌由来α-1,4-ガラクトシダーゼを発見し、その構造機能相関についてFEBS J.に論文として発表した。
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