研究実績の概要 |
β-1,2-グルカンはグルコースポリマーであり、大腸菌や根粒菌などのペリプラズム糖鎖、分泌多糖として浸透圧調節や共生因子などの生理的役割を有していることが報告されている。このような生理的役割の重要性を考慮するとβ-1,2-グルカンの合成、分解に関わる酵素群は多数存在すると推測される。しかし、セルロースなどのグルコースポリマーの場合と比べて分解酵素群の知見は非常に乏しい。 β-1,2-グルカンをエンド型で加水分解するβ-1,2-グルカナーゼはこれまでに研究代表者が遺伝子同定し、この遺伝子がコードする酵素のホモログ群が糖質加水分解酵素(GH)の新規な酵素群としてGH144ファミリーが創設されている。このファミリーのアミノ酸配列の相同性検索をPSI-BLASTによって行い、ファミリーに属さない遠縁のグループを探索したところ、複数の機能未知のホモログ群が見出された。 そこで、これらのホモログ群からいくつかの遺伝子を解析のターゲットとして選定し、これらの遺伝子のC末端またはN末端にHis-tagを付加した形になるようクローニングを行い、大腸菌を宿主とした発現系を構築し、大量発現が可能な培養条件を確立した。さらに、これらのホモログをニッケルアフィニティーカラムによって精製できることを確認した。これらの精製酵素を用いてβ-1,2-グルカンに対する活性を調べたところ、そのすべてで分解活性を見出した。さらに、薄層クロマトグラフィーでの解析では、β-1,2-グルカン以外の多糖に対して活性を示さないことを見出している。
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