研究課題/領域番号 |
23K05046
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研究機関 | 国立研究開発法人理化学研究所 |
研究代表者 |
堀 哲哉 国立研究開発法人理化学研究所, 生命機能科学研究センター, 専任研究員 (20344054)
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研究期間 (年度) |
2023-04-01 – 2028-03-31
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キーワード | GPCR / オクトパミン受容体 |
研究実績の概要 |
マダニ由来オクトパミン・チラミン受容体群4種、およびヒアリ由来同受容体群7種に対して、天然アゴニスト(オクトパミンとチラミン)や、抗ダニ薬であるアゴニストAmitrazが作用するのかどうか確認した。HEK293細胞を使用したTGFalpha-Shedding assayの結果、オクトパミンとAmitrazは、マダニ由来Octbeta2RとOctalpha1R、ヒアリ由来Octbeta1RとOctalpha1Rを活性化して、Gsのシグナルを伝達することが明らかになった。 11種の各受容体のC末にGFPを融合させたキメラ受容体をメタノール資化酵母にて発現し、可溶化後の分散状態をゲルろ過で確認した。上記でアゴニスト結合活性が認められた4種の受容体のうち、ヒアリ由来Octbeta1Rはボイド画分に溶出し、他の3種は発現が認められなかった。他の受容体では、マダニ由来TAR1とヒアリ由来TAR2は分散状態が良好であった。 上記細胞アッセイでアゴニスト結合活性が認められた4種の受容体に対して、バキュロウイルス昆虫細胞発現系で発現し、分散状態をゲルろ過で確認した。Sf9細胞で発現したマダニおよびヒアリ由来Octbeta2Rは、界面活性剤LMNGで可溶化・精製すると単分散状態で溶出し、ヒアリ由来Octbeta2Rは、界面活性剤DDMでも同様な結果であった。マダニおよびヒアリ由来Octalpha1Rはいずれもボイド画分に溶出した。また、High Five細胞で発現した場合、いずれの受容体もボイド画分に溶出した。 以上の結果、マダニまたはヒアリ由来Octbeta2RはSf9-バキュロウイルスの発現系で凝集することなく調製できる可能性があり、今後Gタンパクとの複合体として大量調製してクライオ電顕測定を行う予定である。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
ヒアリとダニ由来オクトパミン受容体群が、天然アゴニストであるオクトパミンや抗ダニ薬であるAmitrazによって活性化されることを新たに確認し、昆虫細胞の発現系で大量調製も可能になったので。
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今後の研究の推進方策 |
申請時では結晶化を行う予定であったが、クライオ電顕による単粒子解析に変更する。そのために、Gタンパク質との複合体化を行う。Sf9細胞での発現・精製状況がより良好なマダニ由来Octbeta2Rにターゲットを絞ることにする。マダニ由来Octbeta2RはHEK293を使用したアッセイではヒト由来Gタンパク質を活性化することができたが、十分な結合強度があるかどうか不明であるので、マダニ由来Gタンパク質アルファサブユニットも調製して、複合体が解離しないGタンパク質を選択することにする。複合体化が確認された場合、受容体とGタンパク質をいずれも大量調製し、クライオ電顕測定を行う。
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次年度使用額が生じた理由 |
DNAシークエンス解析費用が予定より少なかったため。本年度も発現系構築を行うので、その費用とする。
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