• 研究課題をさがす
  • 研究者をさがす
  • KAKENの使い方
  1. 課題ページに戻る

2023 年度 実施状況報告書

ピロガロール基を持つプロアントシアニジン重合体の合成と抗腫瘍活性の作用機序解明

研究課題

研究課題/領域番号 23K05053
研究機関信州大学

研究代表者

真壁 秀文  信州大学, 学術研究院農学系, 教授 (90313840)

研究期間 (年度) 2023-04-01 – 2026-03-31
キーワードproanthocyanidin / pyrogallol / antitumor / fluorecent probe
研究実績の概要

プロアントシアニジン類は、エピカテキン等を構成単位とした重合体であり、抗腫瘍などの生物活性を有している。しかし、作用機序の解明が遅れている。  研究代表者は、この問題を解決するために中分子オリゴマーの化学合成を行ってきた。合成した化合物に関して抗腫瘍活性を調べた結果、顕著な生物活性を有する化合物は、ベンゼン環に連続する3つの水酸基があるピロガロール基を有することを明らかにした。そこで本研究では、ピロガロール基を有するプロアントシアニジンオリゴマーに焦点をあてて各重合体と分子プローブを合成し、標的分子の同定による抗腫瘍活性の作用機序解明を目的とした。2023年度の研究成果は(1)ピロガロール基を持つエピガロカテキンガレート2量体の合成と(2)エピガロカテキン2量体の蛍光プローブの合成である。                                                                                                            (1)ピロガロール基を持つエピガロカテキンガレート2量体の合成: エピガロカテキンガレートのフェノール性水酸基全てをベンジル化し、4位に脱離基を導入した化合物の2量化反応を試みた結果、脱離基としてジエチレングリコールを用いた場合に反応が進行した。続いて、全てのベンジル基と4位のC-O結合をPearlman触媒を用いて加水素分解を行い、エピガロカテキンガレート2量体の合成に成功した。(2)エピガロカテキン2量体の蛍光プローブの合成:エピガロカテキンの自己縮合反応を用いた2量体求電子体を合成し、one-potで4”位のアリル化を行い、蛍光発色団であるBODIPYでラベル化したエピガロカテキン2量体の蛍光プローブの合成に成功した。

現在までの達成度 (区分)
現在までの達成度 (区分)

2: おおむね順調に進展している

理由

2023年度の研究計画では、エピガロカテキン2量体の蛍光プローブの合成を挙げていたが、全合成を達成することができた。総収率が0.15%とまだ低いことが課題として残ったため、収率を改善し、がん細胞の標的タンパク質を同定する必要性が生じた。また、もう一つの課題であるエピカテキンガレートオリゴマーの合成では、複雑な構造を有するエピガロカテキンガレート2量体の合成を達成し、現在論文発表の準備をしている。本合成手法は3量体以上の化合物の合成に適用を拡大することが可能である。                  以上の研究成果を鑑みて、研究は概ね順調に進展していると判断した。

今後の研究の推進方策

(1)ピロガロール基を持つエピガロカテキンガレート重合体の合成: 複雑な構造を有するエピガロカテキンガレート2量体の合成を達成したが、この合成中間体を求電子体として用いることができるため、さらなる重合度の高い化合物の合成を展開する。                                                                                             (2)エピガロカテキン2量体の蛍光プローブの合成:エピガロカテキン2量体の蛍光プローブの合成を達成したが、最終工程の蛍光色素の導入過程が低収率であった。その原因は、縮合反応の反応性の低さとHPLC精製時の過重合体の生成にあると考えられるため、縮合反応の最適化とHPLC精製の溶出溶媒を検討し、収率の向上を図る。その後、本化合物を用いてがん細胞の標的タンパク質を同定する予定である。

URL: 

公開日: 2024-12-25  

サービス概要 検索マニュアル よくある質問 お知らせ 利用規程 科研費による研究の帰属

Powered by NII kakenhi