研究課題/領域番号 |
23K05066
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研究機関 | 東洋大学 |
研究代表者 |
廣津 直樹 東洋大学, 生命科学部, 教授 (40584389)
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研究分担者 |
加藤 悦子 東洋大学, 食環境科学部, 教授 (00355752)
長谷川 輝明 東洋大学, 生命科学部, 教授 (90423566)
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研究期間 (年度) |
2023-04-01 – 2026-03-31
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キーワード | イネ / フィチン酸 / フラグメントスクリーニング |
研究実績の概要 |
本年度は、新規イネINO1アンタゴニストの探索として19F NMRを用いたフラグメント化合物の探索を行い、フラグメントライブラリー中の1134種の化合物から、リコンビナントINO1に結合する122種の候補化合物を選抜した。得られたヒットフラグメントの阻害活性を測定したところ、阻害率0 - 80%の範囲で酵素活性を阻害することを確認した。高い阻害活性を有する化合物に注目するため阻害率70%以上を示したフラグメント化合物を選抜し、最終的に21種のフラグメント化合物を候補化合物として取得した。表面特性の特徴に基づいて化合物のグループ化を行い、選抜した21種の化合物を8つのグループに分類した。各グループから最も高い阻害活性を有するフラグメント化合物を選抜し、8種の化合物を最終ヒットフラグメントとして選定した。この8種の化合物を委託合成して取得した。 選抜したヒットフラグメントを発達中の種子に散布処理し、形成された玄米中のPA含量を測定した。粒重あたりのPA含量を算出し、化合物を処理していないコントロール区のPA含量と比較した結果、いくつかの化合物処理区で玄米中PA含量の有意な低下が確認され、最大で30%以上のPA含量の減少が示された。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
新規イネINO1アンタゴニストの探索として、酵素阻害活性を有する8種の化合物を選定し取得した。さらにイネへの処理も前倒して行い、影響を予備的に調査することができた。 一方で、酵母INO1アンタゴニスト(dGVP)の合成も開始しているが最終目的産物までには到っていない。合成が完了し次第、INO1活性に対する阻害率を調べていく必要がある。
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今後の研究の推進方策 |
今年度は、ヒットフラグメントがINO1のどの部位に結合し、酵素活性を阻害するのか、構造生物学的観点からの酵素-リガンド相互作用の考察が不足している。INO1のX線結晶構造解析を進めていくほか、モデリング構造を用いたドッキングシミュレーションを行うことで、より詳細な相互作用解析を行なっていく予定である。 また、イネへの影響については、処理方法や濃度を詳細に検討していく必要がある。
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次年度使用額が生じた理由 |
本来10種程度の化合物を取得する予定であったが、合成不能化合物も含まれており、本年度は化合物8種の取得にとどまった。取得した化合物の効果を検証した上で、次年度に新たに化合物を選定し、追加で取得するための代金に充てたい。
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