研究課題/領域番号 |
23K05087
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研究機関 | 地方独立行政法人大阪産業技術研究所 |
研究代表者 |
渡辺 嘉 地方独立行政法人大阪産業技術研究所, 森之宮センター, 研究室長 (60416310)
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研究分担者 |
庄條 愛子 相愛大学, 人間発達学部, 教授 (40517265)
佐藤 博文 地方独立行政法人大阪産業技術研究所, 森之宮センター, 主任研究員 (70443546)
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研究期間 (年度) |
2023-04-01 – 2026-03-31
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キーワード | 母乳 / 脂質 / 消化促進 |
研究実績の概要 |
母乳脂質の主成分のTAGは乳児が生存・成長するエネルギーと必須脂肪酸とを供給する。乳がもたらすエネルギーの50%を脂質が供給し、その98%はTAGである。さらに低体重新生児の成長促進を目的として、TAG強化した乳が供されている。ここにTAGの分解吸収性を高める技術を併用すると、より効率よく乳児の成長を促進できると期待される。脂質分解が脂質の水相への乳化分散によって促進されることを期待し、水相に対するTAGの物理的分散方法を検討した。水にTAGを添加し振盪撹拌しても短時間で分相が確認されたが、送液混合法では乳化剤無添加でも安定した分散状態が持続した。さらに酸性状態で乳化破壊しやすい人工胃液でも同様に安定な分散状態が得られた。次に消化管が分泌する脂質分解酵素によるTAGの分解率は、生体内で分泌される胆汁酸を添加した標準的な試験条件に比べ、乳化条件ではTAGからの脂肪酸の遊離速度が2倍以上増加した。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
3: やや遅れている
理由
計画に従って項目Aでは乳中の微量脂質成分をLCMS分析する条件を設定した。ギ酸アンモニウムとアンモニアを含むIPA/MeOH/水と水を移動相としたグラジエント溶出によりHILIC RPカラムで乳脂質成分を分離できた。項目Bでは、乳微量脂質成分AGを定量するため標品合成を実施した。項目C)の脂質分解吸収性評価では、乳化物の消化性が向上することを見出した。D)は次年度より実施を計画している。
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今後の研究の推進方策 |
計画に従って項目Aではヒト乳中の胎脂成分(VC)やAGなど微量脂質成分をLCMS分析し、乳児の摂取量を推定と採乳時期などとの相関性を解析する。項目Bでは、乳微量脂質成分AGによる界面活性能評価を試みる。項目C)の脂質分解吸収性評価では、Bを活用して調製したTAG乳化物の消化性への評価する。D)AG免疫賦活能を分子種毎に比較し、効能の高い分子種を特定する。次年度はAGの評価を中心に実施する。
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次年度使用額が生じた理由 |
次年度に新規に研究分担者を招聘する予定し、本年度余剰額は新規分担機関に予算配分をする。また、当初購入予定していた試薬の価格や成果発表のための旅費の高騰に対応するため本年度余剰額を次年度に計上する。
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