研究課題/領域番号 |
23K05095
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研究機関 | 城西大学 |
研究代表者 |
君羅 好史 城西大学, 薬学部, 准教授 (00635443)
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研究期間 (年度) |
2023-04-01 – 2026-03-31
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キーワード | コラーゲンペプチド / 筋萎縮 / ロコモティブシンドローム |
研究実績の概要 |
超高齢社会である我が国では、健康寿命の延伸が求められている。特にサルコペニア(加齢性筋減弱症)や不活動に伴う廃用性筋萎縮症患者の増加が健康寿命を縮める原因の一つとして問題となっていることから、筋組織障害を予防・改善することは社会的に求められる重要な課題である。そこで筋組織障害に対し予防・改善効果を示す成分の一つである「 コラーゲンペプチド 」に着目した。ヒト試験において、コラーゲンペプチドの摂取がサルコペニア患者の筋肉量を増加させたとする報告はあるが、コラーゲンペプチドが骨格筋の筋萎縮を予防するメカニズムについては未だ判然となっていない。本研究では、これまでの申請者の研究からFoxファミリー転写因子を中心とした核内転写因子を掲げ、コラーゲンペプチドによる筋萎縮予防のメカニズムの解明を試みる。 2023年度は、合成グルココルチコイドであるデキサメタゾン(DEX)によって誘発されるC2C12筋管細胞の萎縮に対するコラーゲンペプチドPro-Hypの効果を検討した。 C2C12細胞をDEX(10μM)に6日間暴露すると、筋管の直径が減少し、筋萎縮に関連する2つのユビキチンリガーゼ、atrogin-1とMuRF-1のmRNAとタンパク質レベルが上昇した。0.1mMのPro-Hypで処理すると、DEXによる筋管直径の減少が緩和され、同時にAkt、mTOR、Foxo3aのリン酸化が促進された。その結果、ユビキチンリガーゼであるatrogin-1とMuRF-1の発現上昇が抑制された。以上の結果から、Pro-Hypの添加がC2C12細胞のDEX誘発性筋萎縮に対して抑制することができる可能性を示した。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
当初の想定通り、DEX誘発性筋萎縮の細胞モデルに対して、コラーゲンペプチドPro-Hypが抑制的に働くことが示された。また、DEXによる筋萎縮シグナルに対してPro-Hypが抑制的に働くメカニズムの一端も解明することができた。
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今後の研究の推進方策 |
Pro-HypがC2C12細胞のDEX誘発性筋萎縮に対して重要な役割を果たすことが明らかになったので、その抑制作用についてのメカニズム解析をさらに進める。具体的には、Pro-Hypによりリン酸化が亢進されたされたFoxo3aに着目し、Pro-Hypを添加した際の核内のFoxo3a量について検出し、Foxo3aの細胞内局在に与えるPro-Hypの影響について検討する。
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