研究課題/領域番号 |
23K05127
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研究機関 | 東北大学 |
研究代表者 |
伊藤 隼哉 東北大学, 農学研究科, 助教 (50781647)
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研究分担者 |
小倉 由資 東京大学, 大学院農学生命科学研究科(農学部), 准教授 (50750139)
仲川 清隆 東北大学, 農学研究科, 教授 (80361145)
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研究期間 (年度) |
2023-04-01 – 2026-03-31
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キーワード | γ-オリザノール / LC-MS/MS / トリテルペンアルコール / 植物ステロール / フェルラ酸 / 吸収代謝 |
研究実績の概要 |
「医食同源」「薬食同源」これらの言葉が示す通り、日常の「食」は我々の健康に極めて密接かつ重要である。応募者は、食と健康の関係解明を目指し、質量分析を駆使し、生体や食品中の脂質酸化の機構解明と、食品機能性成分の活用に重点を置いて研究を進めている。食品機能性成分の研究を進める上で、摂取成分の吸収代謝の理解は極めて重要であり、質量分析をはじめとした種々の分析技術を基盤に、この理解を常に念頭に研究に取り組んできた。この研究戦略のもと、米(特に米糠やこめ油)に特徴的なトリテルペン関連化合物であるγ-オリザノールの機能性や吸収代謝の評価に取り組んできた。本研究では、質量分析による詳細な分子種解析を基盤にし、トリテルペン関連化合物の生体における代謝、および、植物体における生合成経路を明らかにする。そのために、質量分析を駆使し、種々のトリテルペン関連化合物(トリテルペンアルコールと植物ステロールの遊離体、脂肪酸エステル体、フェルラ酸エステル体(γ-オリザノール))や代謝物、前駆体を分子種レベルで解析する。そのために、分析化学と有機化学の融合により、トリテルペン関連化合物の安定同位体を創出し、生体のトリテルペン関連化合物の吸収代謝機構を体系化するとともに、未だ未解明な点が多い植物体におけるトリテルペン関連化合物生の生合成経路やそその制御機構を明らかにすることを目指す。以上の研究により、優れた機能性を有するγ-オリザノールをはじめとしたトリテルペン関連化合物のさらなる活用や作用機序の理解が深まり、食を通じた健康実現の基盤創造に繋がると期待できる。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
課題①:トリテルペン関連化合物の安定同位体の創出 共同研究先の東京大学とともに、吸収代謝の評価に必要な重水素化β-シトステロールを合成し、実際にラットへ投与し体内への移行を評価できた。 課題②:生体のトリテルペン関連化合物の吸収代謝機構の体系化 ①で得られた安定同位体を用いた体内動態評価を開始できた。具体的には胸管リンパカニュレーション試験によって、γ-オリザノールが腸管吸収されることを確認した。また、その適切な評価に必須の抽出・分析方法の構築と改善を進めた。 課題③:植物体におけるトリテルペン関連化合物生合成経路の解明 ②と連携し、生体内の種々のトリテルペン関連化合物を解析するために必要な抽出・分析方法の構築を進めた。本舗を植物体にも応用することで、植物体における生合成機構の解明を目指す。
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今後の研究の推進方策 |
課題①:トリテルペン関連化合物の安定同位体の創出 共同研究先の東京大学と連携し、2023年度に達成した吸収代謝の評価に必要な重水素化β-シトステロールの合成方法を活かして、種々のトリテルペン関連化合物の安定同位体の合成を進める。 課題②:生体のトリテルペン関連化合物の吸収代謝機構の体系化 2023年度に確認できたトリテルペン関連化合物の腸管吸収の意見を活かし、種々のトリテルペン関連化合物の吸収代謝を評価する。一部の化合物に関しては、抽出・分析方法の構築が2023年度までに達成されており、その手法を活かして他の化合物に関しても同様に進める。 課題③:植物体におけるトリテルペン関連化合物生合成経路の解明 穀類に含まれるトリテルペン関連化合物の解析を実施し、生合成経路を推定する。例えば、代表的なトリテルペン関連化合物であるγ-オリザノールを方に含む米をターゲットにし、γ-オリザノールの量や分子種を評価するとともに、その原料となりうるトリテルペンアルコールや植物ステロールの解析も行う。
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次年度使用額が生じた理由 |
2023年度に計画していた動物実験の解析の一部を、2024年度に実施することとした。2024年度には当初の計画に加えて該当する実験に必要な経費を執行する予定である。
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