研究実績の概要 |
従来耐塩性の異なると見なされる6品種の葉片塩濃度反応と塩水灌漑下での葉への塩の取り込みを測定した。耐塩性弱のコシヒカリ、耐塩性強のNonabokuraとIR64、コシヒカリにNanobokuraとIR64の遺伝子断片を導入した同質遺伝系統SL506とSL2007,インデイカの塩感受性品種IR29を使用した。短日要求度の高いNanobokuraは日長処理した。 8Lのポットに湛水栽培して穂揃い期に止め葉中央部を20℃暗黒下で0,10,20,30 mMのNaCl溶液に浸けて、一週間インキュベートした。その結果、全ての品種で培地塩濃度が高くなるほどSPAD値が低下する傾向があったものの、SL506SLとSL2007では低下が少ない傾向にあった。さらに塩濃度を広げて確認する必要があった、 0.5Lのポットに主稈と強勢な分けつ3本を残し湛水条件で栽培した。穂揃い期からポットを0、25、50、100 mMの水に浸けた。穂揃い後20日に止め葉を採取し、葉身先端から基部までSPAD値を測定後、葉全体から直径5mmのディスクを5枚打ち抜きバイアルに入れた後、80℃で乾燥後、無イオン水を加えて95℃で5分加熱してイオン抽出した。液のNa、Cl、Kイオン濃度をイオンメーターで測定後単位葉面積当たりのイオン量を求めた。その結果、60 mM位まで土壌塩濃度が増加してもIR29を除いて塩濃度はほとんど増加しなかった。それ以上の濃度でNonabokuraのNaイオン濃度の増加は最も少なく、IR64が最も大きかった。ただし、IR29では高い塩濃度ではそれほどイオン濃度が高くなかった。他の品種はこれらの中間であった。このことから土壌塩類濃度をさらに高い範囲に広げて反応を見る必要があった。
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