研究課題/領域番号 |
23K05194
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研究機関 | 国立研究開発法人農業・食品産業技術総合研究機構 |
研究代表者 |
高橋 智紀 国立研究開発法人農業・食品産業技術総合研究機構, 中日本農業研究センター, グループ長 (00355562)
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研究分担者 |
高階 史章 秋田県立大学, 生物資源科学部, 准教授 (30451420)
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研究期間 (年度) |
2023-04-01 – 2026-03-31
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キーワード | 水田 / 土づくり / 有機物 / 肥沃度 / 地球温暖化 |
研究実績の概要 |
近年、水田土壌では低コスト生産の圧力から土づくりのための有機物施用量が減少傾向にある。しかし、有機物の連用停止が生産性、土壌肥沃度の変化、環境負荷に与える影響を長期的に定量化した例はない。本研究の目的は有機物施用停止による水稲の収量の変化、養分吸収量の変化、土壌中の可給態成分の推移、メタンガスの放出を含む炭素の動態、重金属の動態等を把握し、定量的なモデルへとつなげることである。 本研究では1988年から2t/10aの家畜糞堆肥を投入している水田について2021年作より堆肥施用を停止した。今年度は2013年から2022年までの水稲の収量、収量構成要素、養分吸収量をとりまとめた。また、2023年以降の栽培後の跡地土壌の化学性・物理性の分析、生育期間中のGHGの発生量の測定を行った。 2013年~2022年までの水稲の収量構成要素、養分吸収量の動態をみると、堆肥施用区は対照区(化学肥料のみ施用区)に比べ、精玄米重が高い傾向であり、施用停止区においても堆肥施用区と同等の収量を維持した。しかし、収量構成要素をみると施用停止区では穂数および籾数が減少し、登熟歩合・千粒重が増加する傾向が認められた。これらの結果は施用停止区では堆肥施用区と比べ栄養生長期の生育量は低下し、補償作用による生育後半の登熟歩合・千粒重の増加をとおして堆肥施用区と同等の収量を得ていることを示している。有機物の施用停止によって水稲は気象に対してより脆弱な生育パターンをとることを暗示していると考えられる。また養分吸収量についてみると、施用停止区は施用区とほぼ等しい値であったが、ケイ酸吸収量は顕著な減少傾向を示し、対照区(化学肥料のみ施用区)に近づいた。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
堆肥施用停止試験を順調に継続し、また圃場のモニタリングによって必要なデータを得るための研究手法が定まり、データ取得について特段の問題はない。一方で過去のデータの収集・整理を行うなど、データ解析およびデータベースの整備に関する取り組みも進んでいる。以上から、おおむね順調に進展していると判断できる。
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今後の研究の推進方策 |
今年と同様の試験を進める。次年度には、GHG発生量、土壌の物理性・化学性に関するデータが複数年得られるので、これらについてデータを整備し解析を進める。
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次年度使用額が生じた理由 |
研究代表者の異動があり、研究分担者との研究打ち合わせおよび当該研究者の消耗品の購入に遅滞が生じ、次年度使用額が生じた。解析を予定している測定項目についてデータを整備することは不可欠であるため、次年度以降相当分の消耗品を購入し、分析作業を加速する予定。
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