研究課題/領域番号 |
23K05216
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研究機関 | 国立研究開発法人農業・食品産業技術総合研究機構 |
研究代表者 |
松本 光 国立研究開発法人農業・食品産業技術総合研究機構, 果樹茶業研究部門, 上級研究員 (20355407)
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研究期間 (年度) |
2023-04-01 – 2026-03-31
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キーワード | カンキツ / ウンシュウミカン / GABA / 温度 / 収穫後処理 |
研究実績の概要 |
GABAは血圧降下やストレス緩和作用等を有する健康機能性成分であるほか、園芸作物の鮮度保持に影響するため、収穫後のGABA含量の制御技術が国内外で研究されている。カンキツは他の青果物と比べてGABA含量が多いが、果肉中の含量は品種や貯蔵条件による差が大きい。収穫後、20℃以上では増えやすく低温では変化しにくいが、減少する場合もある。しかし温度によってGABA含量が変化する仕組みは未解明である。通常、カンキツの貯蔵は低温で行われるため、貯蔵果実のGABA含量を高く保つためには、貯蔵前の温度処理等により予め含量を増加させ、低温貯蔵中もその含量を維持できる含量制御技術の構築が必要である。これまでにウンシュウミカンを温度処理してから低温貯蔵すると、処理条件によって、GABA含量が増加して貯蔵中も維持される場合と、一過性に増加するが貯蔵中に無処理と同程度に減少する場合があることを確認した。しかし温度処理で活性化されたGABA集積が、低温貯蔵中も持続するか否かを決定づける処理条件や集積制御機構は未解明である。本研究では、カンキツ果実を対象に、貯蔵中のGABA集積の持続性の有無を決定する温度処理条件を明らかにし、GABA集積の温度応答性の鍵となる代謝変化を特定することにより、GABA集積制御機構を解明する。本年度はウンシュウミカンを対象に、温度(~35℃)と処理期間(16h~7日)を変えて収穫後処理を行った後、約1か月貯蔵し、貯蔵中の果実品質調査と解析用の試料採取を行った。貯蔵中の果実品質は、今回の収穫後処理により低下しなかった。現在、採取した試料のGABA含量等を分析中である。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
本年度はウンシュウミカンを対象に、貯蔵中のGABA集積の持続性の有無を決定する温度処理条件を明らかにするための実験を行って試料を確保し、GABA含量等を分析中であり、おおむね順調に進んでいる。
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今後の研究の推進方策 |
次年度は、今年度採取した試料中のGABA含量や代謝変化を解析し、貯蔵中のGABA集積の持続性の有無を決定する処理条件と代謝変化を明らかにする。
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次年度使用額が生じた理由 |
分析機器の不具合により予定していた成分分析に遅延が生じたため次年度使用の費用が発生した。現在、成分分析を再開しており、費用は次年度に使用予定である。
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