研究課題/領域番号 |
23K05245
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研究機関 | 大阪公立大学 |
研究代表者 |
望月 知史 大阪公立大学, 大学院農学研究科, 准教授 (30469837)
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研究期間 (年度) |
2023-04-01 – 2026-03-31
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キーワード | 植物ウイルス / キュウリモザイクウイルス / 外被タンパク質 / 葉緑体 / フェレドキシン / クロロシス |
研究実績の概要 |
本研究は、キュウリモザイクウイルス(CMV)の外被タンパク質と葉緑体フェレドキシンI(ntFdI)との相互作用と退緑症状発症との因果関係を究明することが目的である。本年度は、(1) ntFdIと相互作用しないCPおよび葉緑体局在型CPを有する変異CMVの毒性解析、(2)フラボドキシン過剰発現タバコにおけるCMV病原性の解析、(3)退緑症状発現組織におけるストロミュール形成の解析、を行った。 (1)では、ntFdIと相互作用しないCPを持つ変異CMV(CP-CQ)は激しい退緑を引き起こさないこと、CPに葉緑体局在シグナルを付加したCPを持つ変異CMV(TP-CP)は激しい退緑を引き起こすこと、TP-CPをntFdIと相互作用しないように変異させたCMV(TP-CQ)は激しい退緑を引き起こさなくなることを明らかにした。さらに、激しい退緑を示す129QとTP-CPの退緑組織における遺伝子発現パターンが類似していることをマイクロアレイ解析により明らかにした。 (2)では、ntFdIの機能を相補するシアノバクテリアフラボドキシン(Flb)が過剰発現する組換えタバコを用いて、CMVの毒性解析を行った。Flbタバコにおいても、129QとTP-CPは激しい退緑を引き起こすことを明らかにした。 (3)では、ストロミュールに局在するNPR1-GFPを用いて、CMV感染した退緑組織におけるストロミュールの形成を調べた。健全植物と比較して、CMV感染タバコでは有意にストロミュールの形成が増加していたが、退緑の激しさとの相関は明らかにならなかった。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
1: 当初の計画以上に進展している
理由
当初予定では、2024年度に解析する予定であったマイクロアレイ解析を行い、葉緑体局在型CP変異株による激しい退緑症状と、129番目のアミノ酸残基の変異による激しい退緑症状が類似したメカニズムであることまで明らかにした。
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今後の研究の推進方策 |
(1)Flb過剰発現タバコにおいても激しい退緑症状を示したので、FlbタバコのntFdIをゲノム編集によりノックアウトした二重変異株を作出して、激しい退緑症状におけるntFdIの役割をさらに明らかにする。 (2)タバコ以外のntFdI(キュウリ、トウモロコシ、シロイヌナズナ)とCMV CPとの相互作用を明らかにし、CMV CPと相互作用するFdIの領域を探る。 (3)NPR1-GFPを恒常発現する組換えタバコを作出して、経時的な観察を行う。
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