研究課題/領域番号 |
23K05246
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研究機関 | 酪農学園大学 |
研究代表者 |
薦田 優香 酪農学園大学, 農食環境学群, 教授 (90716482)
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研究分担者 |
藤田 尚子 岡山大学, 環境生命自然科学研究科, 客員研究員 (50646966)
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研究期間 (年度) |
2023-04-01 – 2026-03-31
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キーワード | ダイズ矮化ウイルス / アブラムシ媒介 |
研究実績の概要 |
本研究では、北日本を中心にダイズに慢性的に被害をだしているダイズ矮化ウイルス(soybean dwarf virus: SbDV)の増殖機構、およびアブラムシ媒介機構の分子レベルでの解明を目指す。本年度、まずはアブラムシ媒介能に関わるSbDVゲノム領域を逆遺伝学的に解析するための予備試験を行った。野生型SbDVのゲノムRNAを試験管内転写により合成し、ダイズに機械的に接種することで、SbDV感染ダイズを準備した。このSbDV感染ダイズの葉が、媒介アブラムシのSbDV保毒に使用可能かについて調べた。機械的接種法を用いてSbDVを感染させたダイズ株においては、植物体内ウイルス濃度が低いためか、アブラムシによるSbDV保毒が起こりにくい状況であることが示唆された。 アブラムシによるウイルス媒介試験の成否を植物体を用いて判断する方法は、時間的空間的コストがかかり効率的でない。そこで本年度、ダイズ切離葉を用いることで、アブラムシによるSbDV媒介効率を簡易的に調べる実験系の立ち上げを目指した。国内で見つかっているSbDVの4系統(YS、YP、DS、DP系統)のうち、ジャガイモヒゲナガアブラムシが媒介するYS系統および媒介しないDP系統を本試験では用いた。ジャガイモヒゲナガアブラムシにいずれかの系統を保毒させ、健全ダイズ切離葉上に一定期間放飼し、切離葉からのSbDV検出率を比較した。その結果、少なくともジャガイモヒゲナガアブラムシを用いた場合には、YS系統は媒介され、DP系統は媒介されないという状況を簡易媒介試験にて再現できた。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
SbDVの逆遺伝学的解析に関わる、SbDVゲノムRNAの機械的接種については、試薬の販売中止などの影響で、別の手法の検討が必要になる等、一部滞っている。一方、アブラムシ媒介試験を簡便化できる実験系の確立には成功したことから、今後研究が速やかに進むと考え、おおむね順調と判断した。
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今後の研究の推進方策 |
1)変異を導入したSbDVをダイズに感染させる手法として、現在難航しているRNA接種ではなく、アグロインフィルトレーション法を用いるなど、アブラムシを用いないSbDV接種試験の検討を重ねる。 2)簡易媒介実験系を用い、ジャガイモヒゲナガアブラムシ以外の媒介アブラムシ種についても検討を行う。
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次年度使用額が生じた理由 |
本年度の実験計画の一部が、購入予定試薬の販売停止等により変更になった。別の実験計画を立て直したことから、次年度、新たな実験計画に基づき機器と試薬を購入予定である。
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